【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん
2023年9月3日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは『大きな敵に勝つ極意』。歴史上には、小さな勢力が圧倒的に大きな勢力を打ち負かすことがありました。強大な敵を前に、彼らはどんな心構えで戦いに臨んだのか? どのような策を講じたのか? 大きな敵に勝つ秘けつを歴史から探っていきました。
小が大を制する極意、戦国武将の吉川元春(きっかわ・もとはる)のエピソードをご紹介しましょう。
吉川元春は、中国地方で勢力を誇った毛利元就の息子です。父の元就亡き後は、弟の小早川隆景と共に毛利家を支えました。
その毛利家、大ピンチに陥ります。当時ものすごい勢いで勢力を拡大していた織田信長が、ついに毛利家の攻略に乗り出してきたのです。その先兵として、信長の家臣・羽柴秀吉が大軍を率いて攻めてきました。
これまでに遭遇したことのない大きな敵に、どう挑むか?
吉川元春と小早川隆景は意見を戦わせます。その議論の中、吉川元春は大軍と戦うときの心得を述べ、周囲の者たちを大いに感心させました。
吉川元春が示した、大敵に挑むときの極意とは?
大軍の羽柴秀吉とどう戦うか?
兄の吉川元春は積極派。こちらから攻めかかっていこう、という意見を述べます。
ところがそんな兄に対し、弟の小早川隆景は慎重派。
「勇ましいだけのやり方は小さな敵を相手にするときの方法だ」と反論した上、「兄はまるで若武者のようなことを言う」と、こてんぱんに批判しました。
ここに至って兄の吉川元春曰く、「弟こそ戦がわかっておらぬ」。
そして、大きな敵に挑む心得をこう述べたのです。
「小さな敵こそこちらが慎重になるべきだ。負けぬようにさえしておけば、やがて相手の勢いは衰えていく。
しかし、秀吉のような大きくて強い敵はそうはいかぬ。大敵に少しでも弱気を見せれば一気に押し寄せてくる。そうなれば、こちらはろくに戦うこともできぬまま大負けだ。
秀吉のような強い敵には、まずこちらから勇猛果敢に攻めて敵の気力をそぐ。そうすることで初めて活路が開けるのだ」