【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん
2023年7月2日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは『実はすごかった! 控えめ将軍の骨太リーダーシップ』。徳川幕府の将軍、といえば初代家康や3代家光、8代吉宗など有名な人物は何人もいますが、すぐれた将軍は彼らばかりではありません。印象が薄く地味な存在ながらも、人望を集めよい政治を行った将軍がいました。「能あるタカは爪を隠す」。政治をま~るく治めるため、あえて一歩ひくスタンスを貫いた控えめ将軍のすごさとは?
6代将軍の徳川家宣(とくがわいえのぶ)をご紹介しましょう。
徳川家宣、と聞いてもピンとくる方は少ないかもしれませんが、家宣の時代は儒学者の新井白石(あらいはくせき)を中心に儒教の精神で政治を行った「正徳の治(しょうとくのち)」の時代。家宣は将軍に就いてわずか3年余りで亡くなったため新井白石に比べて知名度は低いのですが、実はなかなかのやり手将軍でした。
6代将軍家宣のリーダーシップのとり方とは?
48歳で将軍についた徳川家宣。民を慈しむ心があつく、強権をふりかざすのを強く戒めました。
たとえば、先代の将軍綱吉が制定した「生類憐みの令(しょうるいあわれみのれい)」は即座に廃止。
綱吉からはこの政策を続けていくよう強く遺言されていましたが、この法令で苦しむ庶民を救うことを優先しました。
また、家宣の政治を落書きで批判する者が町に現われたときのこと。
家臣は厳しく取り締まるべきと進言しますが、家宣の考えは違いました。
「下の者は上の悪い所を批判しづらい。だが、落書きは思いのまま言える。政治の反省材料になることもあるだろうから、言わせておけ」
このように、人々をおおらかに包み込む政治をめざした徳川家宣。
幕府内の人事でも、絶妙のバランス感覚を発揮します。
心がけたのは、家臣の能力を正当に評価し配置すること。たとえお気に入りの家来の意見でも自分で判断し、偏った意見と見れば却下。
たとえば腹心の新井白石からは、彼と犬猿の仲の荻原重秀(おぎわらしげひで)を排除するよう進言されますが、将軍家宣は経済政策担当の荻原重秀の能力を高く評価、出来るだけ擁護しました。
こうした徳川家宣、病に倒れることなくその治世が長かったなら、歴史は変わっていたかもしれませんね。