【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん
2023年6月25日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「あの言葉は、歴史上の人物から生まれた」。
私たちが何気なく使っている言葉の中には、歴史上の人物の名前から生まれたものもあります。多くの人が口にする言葉になるほど強い印象を残した人物は一体、どんな人だったのか? そして、当時の人々にどのようなインパクトを与えたのでしょうか?
ご紹介するのは「ごたごた」という言葉。
この言葉の由来になったと言われる人物の名前は兀庵普寧(ごったんふねい)と言います。
兀庵普寧は、鎌倉時代に中国から日本に渡ってきた禅宗のお坊さん。
そんな兀庵からなぜ、「ごたごた」という言葉が生まれたのでしょうか?
中国の名僧、兀庵普寧。
はるばる海を渡ってやってきますが、そのふるまい、当時の日本人には衝撃的でした。
兀庵は1262年、鎌倉幕府の執権・北条時頼の招きで禅寺の建長寺の住職に迎えられますが、このときも人々を驚かせます。
兀庵が初めて説法を行った日のこと。
兀庵は寺の本尊・地蔵菩薩(じぞうぼさつ)像の前に現れるや、こう言い放ちます。
「地蔵菩薩よ、壇を下りて我に拝礼せよ」
つまり、自分は悟りを開いて仏と同じ存在なので、仏より位が下の地蔵菩薩には礼拝しない、と言ったのです。
こんな兀庵に当時の人々はびっくり。
また、兀庵が説く教えは新しく進んだものだったため、当時の日本人にはとても難解で理解しづらいもの。
その上、兀庵は妥協を許さない性格で、事あるごとにやかましく発言。もめることもありました。
そうこうするうち、人々はささやきあいます。
「また兀庵が何か言っている」「あの兀庵が、兀庵が……」
こうして、「ごたごた」という言葉が生まれた、と言われています。