【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2019年12月15日(日)放送の「DJ日本史」は、番組恒例の企画『気になる事件簿』をお届けしました。パーソナリティーの2人が気になる歴史上の事件についてとことん語るこの企画、この回のテーマは「まさかの殺意!主人と家来の事件簿」。もともと信頼しあっていた主君と家来の間に溝が生まれ、ついには流血の事態に至った理由とは?

パーソナリティーの堀口茉純さんが以前から興味を持っていた出来事が、「太田道灌(おおた どうかん)殺害事件」

太田道灌は室町時代の後期に活躍した武将で、徳川家康が江戸に入るずっと前に江戸城を初めて築いた人です。
城を築く技術は抜群、兵の扱いは見事。歌を詠む才能は江戸を遠く離れた京の都に知れ渡るほどで、文武両道のすばらしい人物でした。

ところが、こんなすばらしい人物であったのに、仕えていた主君の上杉定正(うえすぎ さだまさ)という大名に殺されてしまいます。

主君に忠実に仕えていたのに、なぜ殺されなければならなかったのでしょうか?


太田道灌は主君の上杉定正に対して忠義を貫いた武将でした。

例えばこんなことがありました。
道灌は親しく付き合っていた1人の武将から、主君に対してともに兵をあげようと誘われたことがあります。
その武将は大きな勢力を持つ有力者。人望ある道灌がその申し出を受ければ謀反の成功は確実のはず。
しかし、道灌はその申し出をはねつけて主君に忠誠を誓う道を選び、友人を敵にまわしたのです。

そんな道灌、自分が直接仕える上杉定正だけではなく、その本家である山内上杉(やまうちうえすぎ)家のためにも身を粉にして働きます。
道灌に心を寄せる人々はどんどん増えていきました。

ところが、そんな道灌を快く思わない人物が現れます。
それは、本家の山内上杉家の家臣、そして当主。
名声が高まる一方の道灌が疎ましくなってきたのです。
一方の道灌は、そんな彼らを遠慮せず非難。本家の家臣の無能ぶりをあげつらったりしました。
太田道灌、おかしいと思ったことは黙って見過ごせない性格だったようです。

両者の対立は深まっていきました。
そしてついに、本家の当主は分家の当主、つまり道灌の直接の主君である上杉定正を、こうそそのかしたと
言われています。

「道灌は、謀反をたくらんでいるのではないか?」

上杉定正、ついに決断を下してしまいます。
風呂を出たばかりの無防備のときを狙って、道灌に一太刀!
1486年夏の出来事でした。

DJ日本史「気になる事件簿 まさかの殺意!主人と家来の事件簿」 おわり