【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん
2022年10月16日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「あっぱれ!律儀な武将たち」。
戦国の世といえば、人と交わした約束などなんのその、裏切りだってあたりまえ。そんな時代に誠実で義理堅い態度を崩さなかった律儀な武将の生きざまとは?
ご紹介するのは、一文無しの若いころに受けた恩を忘れず出世後に律儀に恩を返した戦国武将の話です。
その人物とは、藤堂高虎(とうどうたかとら)。
足軽からスタートして、ついには32万石の大名に上りつめた人物です。
そんな藤堂高虎には、若い頃に受けた恩をきっちり返したという、こんな逸話が残っています。
藤堂高虎がまだ無名の若き時代、仕える主君を求めて全国を渡り歩いていたときのこと。
思うような仕官先が見つけられないまま、今の愛知県豊橋にたどりついた高虎。
ここでついに、持ち合わせの金も尽きてしまいました。腹はぺこぺこ。
その時、目に飛び込んできたのが一軒の餅屋でした。
高虎は空腹のあまり後先考えず注文し、出された餅をペロリ。いわゆる、無銭飲食です。
勘定をする段になって覚悟を決めた高虎、正直にお金がないことを白状し、主人に頭を下げました。
そして、放浪中の自分の身の上を包み隠さず打ち明けます。
すると、話を聞いた店の主人から返ってきた言葉は、意外なもの。
「きょうの払いは、出世払いでいい。それより故郷に帰って、親孝行してあげなさい」
そう言って店の主人は高虎に、なんと銭まで持たせてくれたのです。
そして数十年後。
一介の足軽から一国を治める大名に上り詰めた藤堂高虎は、参勤交代のとき、この餅屋に立ち寄ります。
そして、店の主人と久方ぶりの対面。
驚くばかりの主人に大金を渡し、丁重にお礼を言った、ということです。