畑亜貴さん・田淵智也さんの詞はなぜ「気持ちいい」? ~アニソン、詞の世界~

アニソンクリエイター's BAR 2020 ~この10年の作品を振り返って~

放送日:2020/12/28

#音楽#アニソン#うた♪

ざっくりいうと

  • 畑さん、「こころぴょんぴょん『待ち?』」を選んだ理由とは?
  • 田淵さんのメロディーの気持ちよさ、秘訣は「イントネーション」!
  • 畑さんに影響を受けて書いた田淵さんの詞が明らかに!

今のアニソンシーンを代表する3人のクリエイター、畑亜貴さん、田淵智也さん、田中秀和さんが集結した「アニソンクリエイター's BAR 2020」。
畑さんと田淵さんがそれぞれ作詞したアニソンの「ここがすごい!」というポイントとはいったい!?



【出演者】

・畑亜貴さん(作詞家、音楽家)
提供曲はなんと1840曲以上。『ラブライブ!』など、数多くの作品の主題歌の作詞を担当。

・田淵智也さん(作詞・作曲家、ベーシスト)
LiSA、内田真礼など、数多くのアーティストに楽曲を提供。UNISON SQUARE GARDENのベーシスト。

・田中秀和さん(MONACA)(作曲・編曲家)
「アイドルマスター シンデレラガールズ」シリーズなど、数多くのアニメ作品にて主題歌・劇伴を担当。

・宮﨑あずさアナウンサー

“弾幕”になった、響きが気持ちいい詞とは?

「こころぴょんぴょん待ち?」という詞がアニソンシーンをざわつかせた、畑さん作詞の1曲で番組はスタートしました。

♪「Daydream café / Petit Rabbit's」
(作詞:畑亜貴 作編曲:大久保薫)(テレビアニメ『ご注文はうさぎですか?』OP)

田中: 口に、声に出したくなる言葉の響きの気持ちよさっていうか。歌っている側も、響きとして、聴いている側もとても気持ちよくなれる。そここそが、今聴いた楽曲のとても素晴らしいポイントだなっていうふうに思いました。
ちょうどこれが2014年の楽曲だと思うんですけれども、動画サイトで、こういう「ぴょんぴょん」っておもしろい言葉だとか、この曲に限らずですけれども、コメントでおもしろい言葉を弾幕的に流したりとかいう、そういう文化がちょうどめちゃくちゃ盛り上がりきっていた時期なのかなというふうに感じました。
畑: まあそうだね。だから自分が、ここが推しだな、と思っている言葉じゃない言葉が弾幕になってたりして、「えっ、そっちなの!」っていう意外性があったりとか。
田淵: アニソンのピックアップされる歌詞とかって、いわゆるその、歌謡曲とかでいう共感を呼ぶとか、人間の心の機微を表した文とかじゃなくて、「こころぴょんぴょん」みたいな単語的なおもしろさがピックアップされて。文化的にも、なんかけっこう特異な現象だなと思っていて。

衝撃の歌詞「待ち?」に込められた“微熱”

田淵: 「こころぴょんぴょん」までは僕まだ分かるんですよ、「こころぴょんぴょん」だなって。そのあと「待ち?」ってくるじゃないですか。ハァっ!?って思って(笑)。
田中: 「待ち?」はやばいですよ!
田淵: 普通そこ行かないじゃないですか! 「こころぴょんぴょん『しよう』」みたいな、そこに行くのが、「待ち?」って、それありなんだ!みたいな。そこの、そのジャッジって、やっぱり普通の言葉でいくとこうっていう、たぶん当然選択肢として思い浮かぶかもしれないですけど、そこを「待ち?」にしたっていうのって何なんですか??
畑: やっぱり、ときめきね。ときめきがあるんだけれども、そのときめきに行くとちょっとだけ手前の、この、何かほんわり「微熱」を感じてるような状態?っていうのを表現したいなって思ったときに、「ぴょんぴょん『しよう』」とか「ぴょんぴょん『だね』」とか、
田淵: 「したい」とかでもなく?
畑: じゃなくて、「ぴょんぴょん『待ち?』」って。
田淵: 普通の作詞家、使わないので!

「作詞家である畑さんがもう作曲に半分足を踏み入れている」

宮﨑: 畑さんが作詞をされて、田中さんが作曲、そして編曲っていう曲も、ありますけれども。
田中: たくさん書いていただいてるんですけども、その1つとして『あんハピ♪』ってアニメの、「PUNCH☆MIND☆HAPPINESS」っていう楽曲があるんですけれども。
田淵: あ~~、いい曲。好き!
田中: その曲のですね、サビのフレーズあるじゃないですか。「がんばっちゃおう がんばっちゃおう」っていうところなんですけれども。その部分、今ちょっと流せたりしますかね?

♪「PUNCH☆MIND☆HAPPINESS / Happy Clover」
(作詞:畑亜貴 作編曲:田中秀和)(テレビアニメ『あんハピ♪』OP)

畑: ん~、いい曲!
田中: ありがとうございます!ここの「がんばっちゃおう がんばっちゃおう」っていうところって、あの、今鳴るかな?
田淵: おっ、すごい、ピアノも弾いてくれるの!?最高じゃん!
畑: キーボード持ってきてるじゃん!
田中: 僭越ながら、弾かせていただきます。(キーボードを弾きつつ…)ここの、このメロディー、本当に、おんなじ音(程の音)を鳴らしているだけなんですけれども、それをサビ頭に持ってきたというのも、完全にこれ、畑さんに丸投げしているといいますか(笑)。
一同: (笑)。
田中: 畑さんならここに、めちゃくちゃキャッチーな言葉を入れてくださるんだろうっていう。
畑: お、挑戦状だ!
田淵: 作曲目線でいくと、サビの頭で同じ音を4回打つっていうのって、ちょっと怖くない?
田中: でも、さっきのまさにその「Daydream café」も、「こころぴょんぴょん待ち?」はおんなじ音4つで、ここにめちゃくちゃフックのある言葉がバーンとはまってるっていう意味で、半分その、僕ら作曲家がやってるのは同じ音を並べてるだけで、もう半分以上はその、作詞家である畑さんが、言葉の響きっていうことも含めて、もう作曲に半分足を踏み入れているくらいに僕は感じていたんですけど。
田淵: 畑さんが書くっていうのはあらかじめ聞いていた?
田中: あ、聞いてました。
田淵: なるほど。そこの信頼感も込みで、「畑さんならここ、当然やってくれますよね??」って。
畑: っていうね。やっぱり挑戦状だよね(笑)。
田淵: おもしろい!
畑: 楽しく受け取った!

メロディーに完璧にはまっている歌詞とは?

続いては、田淵さん作詞作曲の、思わずジャンプしたくなる1曲!

♪「せーので跳べって言ってんの! / 本城香澄」
(作詞・作曲:田淵智也 編曲:伊藤翼)(テレビアニメ『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』Personal Music)

畑: もう実に田淵節炸裂の楽しい曲だと思います。ベースにね、やっぱり、基本的に冒険好きの、この青年の魂みたいなのがあるんですけれども、そこから性別を超えた楽しさになだれ込んでいくこのリズム感っていうのが、まさに大得意!
田淵: いや~、ありがとうございます。畑さんに解析されるのめちゃ照れちゃう(笑)。
田中: 田淵さんの曲って、今聴いた「せーので跳べって言ってんの!」っていうのもそうなんですけども、めちゃくちゃメロディーと歌詞のはまり具合が半端じゃないなって毎回思うんですけども、今回のその「せーので跳べって言ってんの!」も、サビの「せーので跳べ!」っていうところって、メロディーと言葉のイントネーションがもうバチバチにはまっているというか。その、「せーので跳べ!」っていう、言ったその音の並びがそのままメロディーになっていて、この流れが完璧すぎて。
畑: みんなに語りかけてるよね、「せーので跳べ!」って。
田中: そうなんですよね。
宮﨑: 田淵さんはそういうところも考えながら…?
田淵: いやそんなに専門的なことは考えてないので、指摘されるとこう…。
田中: えー!?ここ、計算じゃなかったんですか?
田淵: 計算ではないですね。やっぱりメロディーを書いたときに言葉が一緒に出てくるものってやっぱりすごく作曲が速いんですね。僕だから、作詞と作曲どっちが先なんですかって言われた作曲なんですけど、たぶん一緒に歌詞も書いていいのであれば、もうメロディー書いているときからここにはこういう言葉がはまったらいいなって思いながらたぶん、書いてるところがあって。
なので、そのニュアンスだったり音の並びに乗ってて気持ち日本語みたいなのをそのメロ作ってるときから多分考えているので、いざ作詞をするときにその出てくるものはちゃんとそのメロディーに、僕「メロディーに失礼のないように」っていうのをよく自分の言葉で使ってるんですけど、そうですね、作詞をするにはそういうのをたぶん、イメージしているんですかね。

畑さんに影響を受けて生まれた田淵さんの詞が!

田淵: 僕、やっぱり畑亜貴に影響を受けて育ってきた背景ですね、2000年代の時にアニメソングめちゃくちゃ聴いてるときに、どのクールでもなんか5曲、6曲くらい書いてるこの人誰だ?みたいなところからお名前聞いてたところもあって。やっぱり歌詞がすごく変幻自在でおもしろい。で、やっぱ、歌ってて気持ちいい、言葉が何か楽しそうっていう、そこに僕すごく影響受けてるところがあって。だからそのエッセンスはちょこちょこ出ているんですね。で、さっき畑さんがおっしゃってくれたその冒険する少年の心みたいなのってまさにそう。
私あの、そんなに畑さんみたいにいろんな人格では書けない、僕この人格でしかたぶん書けないと思うんですけど、その中で畑さんの歌詞を読みこんできた俺の投げられるエッセンス、単語の乗り方とかは、すごいたぶん、今でも影響が強く残っているし、今現在進行形で畑さんがやってる楽曲とかにもたぶんそのあとすぐに影響を受けるというのがあると思っていて。
畑: (笑)。
田淵: これたぶん、「せーので跳べって言ってんの!」のサビの3行目の「ときめけよbaby」の「baby」は、そのころ畑さんがめちゃ「baby」使ってた(から)。
一同: (笑)。
田淵: 「恋?で愛?で暴君です!」でも使ってたよね?
畑: ちょっと流行ってたな、私の中で。
田淵: 「baby」ってはまりいいな!って。僕だから「baby」とか絶対男目線で使わないですもん、だって。でも、「baby」ってこの速さで発音するとこんなに気持ちいいんだって思って。
畑: そうそう。気持ちいいし、かわいいよね。
田淵: そうなんですよ。それちょっとすごい思い出したんですけど、ごめんなさい。
畑: そうだったんだ~。
田淵: 種明かしみたいな。ごめんなさい、いくらかお支払いしますね(笑)。
畑: おごって(笑)。

和気あいあいとした雰囲気のなか、クリエイターならではの視点で、曲の魅力とその理由が明らかになっていきます。
次は、田中さんが手掛けた、とにかくサウンドがカッコいい1曲!
その成り立ちが明らかになります!


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