ゴキブリに殺虫スプレーをかけると、かえって強く進化させてない?

質問者みことくん

放送日2020年8月8日(土)

ざっくり言うと
つるみみことくん(小学4年生・広島県)からの質問に「昆虫」の丸山宗利先生が答えます
広い意味での進化の1つで、「共進化」の中の「軍拡競走」と呼ばれている
薬に強くて生き残ったゴキブリがいると、その子孫には最終的に効かなくなっちゃう

テーマ

昆虫 丸山宗利先生

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2020年8月8日(土)放送より

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放送日時:2020年8月8日(土)午前9時12分ごろ~午前9時18分ごろ

石井アナ:石井かおるアナウンサー
丸山先生:丸山宗利先生(九州大学総合研究博物館 准教授)
みことくん:質問者


石井アナ: おはようございます。
みことくん: おはようございます。
石井アナ: お名前を教えてください。
みことくん: みことです。
石井アナ: みことくんの質問は、どんなものですか。
みことくん: ゴキブリをやっつけるために殺虫スプレーなどを作っていますが、これをかけてしまうと、ゴキブリを強くまた進化させてしまっていると思います。どうなんですか。
石井アナ: ゴキブリを退治するために殺虫スプレーをかけると、かえってゴキブリを強くしているのではないか、と思っているわけですね。
みことくん: はい。
石井アナ: それは、丸山先生に聞いてみましょう。いかがでしょうか。
丸山先生: みことくん、おはよう。
みことくん: おはようございます。
丸山先生: 鋭い質問だね。それもね、広い意味での進化の1つ。特にその中でもね、「共進化」って言葉知ってるかな。分からないかな? 聞いたことある?
みことくん: ティラノサウルスとトリケラトプスの関係とか…。
丸山先生: よく知ってるね! 「共進化」というのは、種とか個体がお互いに影響を与え合って進化していくことです。「共進化」にはいろんな種類があって、ゴキブリと殺虫剤の場合は「軍拡競走」(軍拡競争)っていう言葉が使われることがあります。例えばね、難しい言葉なんだけれども、ある国とある国の仲が悪くて、戦争中だったり、戦争になりそうなときに、お互いに戦車を増やしたり爆弾をたくさん作ったりして、それをお互いに見せ合ったりしてね。実際、世界で起きていることなんだけれども、そういうのがどんどんエスカレートしていくことを「軍拡競争」と呼びます。
ゴキブリの場合はね、例えばAという薬ができました。それを使うと、ほとんどのゴキブリは死んでしまうんだよね、実際に。しかし、その中に、たまたま薬に強くて生き残ったゴキブリがいると、それが子孫を残しますね。その子孫の中からも、またどんどんと薬に強いゴキブリが生き残っていくと、どんどんとそのゴキブリが薬に強くなっていって、最終的には全然効かなくなっちゃうんだよね。
みことくん: うん。
丸山先生: 今、ウイルスのことが問題になってるでしょ。それもね、似たようなことが実はあって…。人間にも病原菌とかウイルスがいるんだけれども、病原菌には抗生物質、ウイルスには抗ウイルス薬という薬とかが、菌とかウイルスを殺すことができるんだ。けれど、使いすぎるとね、そういう薬とかが効かない菌やウイルスが出てきてしまいます。たまたま薬に強い菌とかウイルスが生き残って、それが増えることによって起きるんだよね。それで、また新しい薬を開発しなければならないという、人間と病原菌やウイルスとの間で「軍拡競走」っていうものも起きていく。それもゴキブリと同じ話で、人間と別の生き物との間の「共進化」の1つの形というふうに言えると思います。
みことくん: はい。
丸山先生: 「共進化」っていうのは、すごくおもしろい現象で、ゴキブリと人間、菌と人間とかの間以外にもね、例えば、私が研究しているアリと共生するいろんな昆虫がいて、その昆虫は互いに生き残りやすいように、より多くの子孫を残せるように、互いに都合がいいように進化していくんだよね。お互いの関係で。
例えばアリはね、アブラムシという虫と共生することがよくあるんだけれども、アブラムシはアリに甘い蜜をあげる代わりに…。
みことくん: テントウムシから守ってもらうっていう…。
丸山先生: そうそうそう。
石井アナ: よく知ってますね。
丸山先生: それも1つの「共進化」の形。アブラムシはアリを引き寄せるようによく進化してるし、アリもアブラムシをよく守るように進化してるっていうことが起きてて、それも1つの「共進化」。とてもいい質問ですね。だから、人間とゴキブリの間にも「共進化」が起きているということで、いろんな生き物は常に進化してるっていうことが1つの例として分かると思います。
みことくん: ゴキブリは生命力が強いので、今後、人間にゴキブリの遺伝子などを埋めたり、病気をやっつけるために遺伝子を使うってことはありえるんですか。
丸山先生: どうなんだろうね…。全くゼロではないです。ただ、ゴキブリと人間はあまりにも遠く離れた生き物だから、ゴキブリの強い機能、特徴を人間の遺伝子にそのまま持っていっても、体のつくりが全然違うから、すぐにはそれを使うことはできないと思うんだよね。ただ、完全に無理かっていうとそうでもなくて、共通する部分が少しはあるので、そういうものに関しては、ゴキブリのいいところを人間に生かすっていうことも、将来もしかしたらできるようになるかもしれません。ただ、哺乳類とか近い生き物のほうが、より使える可能性があるんじゃないかなと思いますね。
みことくん: 分かりました。
石井アナ: みことくんの発想がすごいですね。
丸山先生: そうですね。進化だと気づくこともすごいし、驚きました。
石井アナ: みことくん、分かりましたか。
みことくん: よく分かりました!
石井アナ: ありがとうございました。さようなら。
みことくん: さよなら~。
丸山先生: さよなら。

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2020年8月8日(土)放送より

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