ブラックホールに入れるの? 日本で見ることはできるの?

質問者さくらさん

放送日2020年8月7日(金)

ざっくり言うと
そりまちさくらさん(小学4年生・神奈川県)からの質問に「天文・宇宙」の本間希樹先生が答えます
近づいても体がバラバラにならない巨大なブラックホールなら入れるけれど、入ったあとのことは…?
ブラックホールのある天体は望遠鏡で観測できます。科学館や天文台へ行ってみよう!

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天文・宇宙 本間希樹先生

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2020年8月7日(金)放送より

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放送日時:2020年8月7日(金)午前11時15分ごろ~午前11時26分ごろ

石井アナ:石井かおるアナウンサー
本間先生:本間希樹先生(国立天文台 水沢VLBI観測所 所長)
さくらさん:質問者


石井アナ: お名前を教えてください。
さくらさん: さくらです。
石井アナ: さくらさんはどんなことを聞きたいんですか。
さくらさん: 「ブラックホールに入れるのか」と「日本で見ることはできるのか」。
石井アナ: 「ブラックホールにさくらさんが入れるのか」。入ってみたいんですか?
さくらさん: はい。
石井アナ: そして、「日本でブラックホールを見ることができるか」。これは本間先生に聞いてみましょう。本間先生、お願いします。
本間先生: さくらさん、こんにちは。
さくらさん: こんにちは。
本間先生: 「ブラックホールに入れるか」。入ってみたいんだね?
さくらさん: はい。
本間先生: きょうはブラックホールの質問がたくさん…。
石井アナ: 多いですね。本間先生だけに。
本間先生: うれしいですね。
きょうは、1人目の質問は「ブラックホールが怖いから、壊したい」と言っていて、2人目の人は「どうやったらできるか?」。さくらさんは3人目で、「入りたい」。非常におもしろい視点ですね。
ブラックホールの中を知るために、僕も入ってみたいと思うんですね。ブラックホールって、中のことがさっぱり分かってないんですよ。「ブラックホールは光が出てこない」って知ってるかな?
さくらさん: はい。
本間先生: 何でもかんでも吸い込んじゃって、光も出てこないので、ブラックホールの中のことは分からないから、僕も入れるものなら入ってみたいと思います。ちょっと怖いけど。
さくらさんの質問は「入れますか?」ということですけど、入れるには入れます。
…が、「入るのに危ないブラックホール」と「そうでないブラックホール」があります。
さくらさん: ふうん。
本間先生: 「危ないブラックホール」はどういうことかというと、入るまでに、近づいただけで人間の体がバラバラになってしまって…。
さくらさん: わあ…。
本間先生: 入るまでに生きていられない。せっかく入っても、体がバラバラになって死んじゃってたら、意味ないよね。
「入るのに危ないブラックホール」というのは、小さなブラックホール、軽いブラックホールなんだよね。体がバラバラにならずに入れるのは、重いほうのブラックホールなんだよ。
さくらさん: へえ。
本間先生: 去年ブラックホールの写真が発表されたんですけど、それは見たことあるかな?
さくらさん: ブラックホールの?
本間先生: ブラックホールの「影」の写真を、僕たちいろんな研究者ががんばって写真を撮ったんですけど。
さくらさん: ああ…。
本間先生: 見た? 見てない?
さくらさん: 見たことあります。
本間先生: その写真に撮ったのは、非常に大きなブラックホールなんですよ。「M87」っていう銀河の真ん中にある、非常に大きなブラックホールなんです。太陽の重さの65億倍もある。
さくらさん: え? マジで?
本間先生: すごい数字だよね。それぐらい重いブラックホールだったら、中に入ろうと思うぐらい近づいても、体が引きちぎられることはないんです。
このブラックホールはすごく遠いので、そこまで行くのは今のところ大変だけども、行けたとすると、ちゃんと中に入ることができます。
入るのは簡単。だって、ブラックホールって、重力で何でも引っ張って吸い込んじゃうじゃないですか。
さくらさん: はい。
本間先生: なので、重力に自然に引っ張られて落ちていけば、ブラックホールに入れます。
さくらさん: へえ。
本間先生: 問題は「入ったらどうなるか」だよね。どうなるかは分からないんですね。
さくらさん: ええ?
本間先生: 少なくとも、ブラックホールの中に入ったとして、後ろを振り返ったらちゃんと夜空が見えます。星からの光がブラックホールに入ってくるので、後ろはちゃんと夜空が見えるけど、前のほうは光が出てこないので、たぶん真っ暗ですね。
さくらさん: へえ。
本間先生: ブラックホールの中はどうなってるのか分からないので、何が起きるのかまったく想像がつかないんですが…ブラックホールの真ん中を「特異点」と難しい言葉でいうんですけど、全部のものが点につぶれてちゃっている特別な場所があるんです。
さくらさん: ええ?
本間先生: ブラックホールに飲み込まれたすべてのものが一点に集まっちゃってるだろう、といわれてるんです。
もしブラックホールにさくらさんが入ることができたら、最後は特異点に、点にまでつぶされてしまって、ペタッとくっついてしまう。そういうことが起きるんじゃないかなと思うんだよね。
さくらさん: へえ。
本間先生: どのみち、バラバラにならずに入れたとしても、最後はちょっとイヤだね。点になってしまう、という結末になるだろうと思います。
さくらさん: じゃあ、最後には出られないんですか。
本間先生: はい。ブラックホールは吸い込むだけで、絶対ものを出さないので、出ることは無理ですね。
石井アナ: じゃあ、行ったとしても、永遠に帰ってこられなくなってしまうっていうことですよね。
本間先生: 帰ってこられないですし、帰れたとしても命はないだろうと…。
さくらさん: ああ…。
石井アナ: さくらさん、大丈夫?
本間先生: さくらさん、それでも入りたいかな?
さくらさん: 入ってみたいです。
石井アナ: 勇気あるね…。
ちなみに、小さいブラックホールだと体がバラバラになってしまうのは、どういうことなんですか。
本間先生: 難しい言葉になっちゃうんだけど、潮汐力(ちょうせきりょく)っていうんです。さくらさん、聞いたことあるかな。聞いたことないよね。
例えば、月や太陽が地球を引っ張ってるので、海の満ち引きが起きるんです。海で潮が上がってきたり引いたりするのを見たことあるかな。
さくらさん: はい。
本間先生: 重い天体があると、ほかの天体を引っ張って引きちぎろうとする力が働くんです。それは、小さなブラックホールのほうがよく働く。
人間がブラックホールに落ちていくとき、つま先からブラックホールに向かって落ちていくとするじゃないですか。つま先にかかる重力のほうが頭のてっぺんにかかる重力よりも強いので、体が引き伸ばされるんですね。どんどん引き延ばされて、最後はスパゲッティのようになるといわれてるんですけど、体がビョーンと伸ばされてバラバラになってしまう。そういうことが起きると考えられています。
さくらさん: ふうん。
石井アナ: さくらさん、そうなんですって。
さくらさん: びっくりしました。
石井アナ: びっくりしましたか。
さくらさんの質問には、あと「日本から見ることができますか」というのがありましたよね。
さくらさん: はい。
本間先生: 残念ながら「ブラックホールそのもの」は見ることが難しいですけど、「ブラックホールを持っている天体」は、なんとか見ることはできるんです。ただ、望遠鏡がいりますね。
さくらさん: ああ。
本間先生: さっき言ったブラックホールは、「M87」っていう星雲にあるんです。銀河なんです。もし興味があったら、天体写真の図鑑で見てもらうといいんだけど。
そのM87という星雲をもし見ようと思うと、望遠鏡があれば見れますね。9等星ぐらいなので、肉眼では見ることができないですけど。この天体は春の星座、おとめ座にあるんです。
さくらさん: ええ?
本間先生: おとめ座は知ってる?
さくらさん: おとめ座、知ってます。
本間先生: 今は夏なのでちょっと条件がよくないけども、ギリギリ…日が沈んで暗くなってすぐだったら、まだ上がってるかな。場所を見極めて望遠鏡で見れば、M87っていう天体を見ることはなんとかできる。それが答えですね。
石井アナ: もし望遠鏡を持ってなかったら、どこかの科学館や天文台へ行ったら見られる機会がありますか。
本間先生: 科学館の立派な望遠鏡でしたら、問題なく見ることできます。
さくらさん: 見たい。
本間先生: 機会を見つけて、見てほしいですね。
石井アナ: 持ってなかったら、そういうのも調べてみたらいいかもしれませんね。
さくらさん: はい。
石井アナ: さくらさん、いいですか。
さくらさん: はい、大丈夫です。
石井アナ: さくらさんからの質問でした。
さくらさん: ありがとうございました。
石井アナ: はい、ありがとうございました。さようなら。
本間先生: さよなら。
さくらさん: さよなら。

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2020年8月7日(金)放送より

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