くさいにおいを出す昆虫は、自分がくさいことに気づいているの?

質問者ふでこさん

放送日2020年3月31日(火)

ざっくり言うと
いそだふでこさん(小学4年生・京都府)からの質問に「昆虫」の丸山宗利先生が答えます
昆虫は「くさくて嫌だな」と感じる必要がないから、においを「くさい」とは感じません
ただ、カメムシのくさいにおいは命に関わるから、「危険なにおいが出たぞ」とはうすうす気付いているはず

テーマ

昆虫 丸山宗利先生

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2020年3月31日(火)放送より

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放送日時:2020年3月31日(火)午後3時44分ごろ~午後3時51分ごろ

石井アナ:石井かおるアナウンサー
丸山先生:丸山宗利先生(九州大学総合研究博物館准教授)
ふでこさん:質問者


石井アナ: お名前と今度の学年を教えてください。
ふでこさん: ふでこで、5年生です。
石井アナ: 今度5年生ですね。質問はどんなものですか。
ふでこさん: 「くさいにおいを出す昆虫は、自分でもそのにおいに気付いているのか?」が知りたくて、去年ここに電話してかからなかったので、自分でカメムシを捕まえていろんな虫にくさいのをかがせて調べてみたのですが、本当のところはよく分かりませんでした。
石井アナ: そうだったんだ。以前電話をかけてくれたのに、ごめんなさいね。それで自分でも調べてみた。でも分からない、ということですね。きょうは、しっかりと丸山先生に教えてもらいましょう。丸山先生、ふでこさんの質問、どうでしょうか。
丸山先生: 答えから言いますと、自分自身では分かっていないんだと思います。
ふでこさん: え?
石井アナ: 自分がくさいにおいを出していることに、昆虫自身も気付いてない?
丸山先生: 「くさい」って、嫌な感情ですよね。そういう意味で「くさくて嫌だな」とは少なくとも思っていないです。
ふでこさん: ええ?
丸山先生: 昆虫も人間と同じように、見たり聞いたりさわったりかいだり、感覚というものがあります。それが一部ないものもいるんですが、いろんな方法で周りの状況を知ることができます。
人間は感覚の幅が広いんだけど、昆虫の場合は、自分の生活になくてはならない感覚しか持っていません。
ふでこさん: ああ。
丸山先生: 昔、ファーブルという昆虫の研究家がおもしろい実験をしたんです。セミに大砲の音を聞かせても、セミは全然気にしなかった、ということがあります。
ふでこさん: それ、知ってます。
丸山先生: 森に暮らすセミは仲間同士で鳴き声を聞いてやり取りをしてるんだけど、大砲のような音が分かる必要がないからだよね。
ふでこさん: おお。
丸山先生: 持ってる必要がないから、分かる感覚を持ってないんだ。
カメムシがなんでにおいを出すか、分かるかな?
ふでこさん: 敵に食べられないため。
丸山先生: そう。くさいにおいを出して小鳥などに食べられないため。カメムシの場合は、自分がにおいを出したことはなんとなく分かってると思う。
ふでこさん: おお。
丸山先生: カメムシのにおいって、すぐに気化する、成分の強い毒のようなものです。カメムシをたくさんせまいビニール袋に入れて、そのにおいをいっぱい出させると、中でカメムシが自分のにおいの毒で死んじゃうんだよね。体には刺激があるから、カメムシも恐らく少しは分かってるとは思います。
ふでこさん: うん。
丸山先生: ほかにくさいにおいを出す昆虫って、何か思いつくもの、いるかな?
ふでこさん: テントウムシ、苦いのとか。あと、アゲハチョウの幼虫。
丸山先生: そうだね。これはさっきの感覚の話だけど、アゲハチョウは口やにおいで「この植物は食べられる」と分かったり、小さな目があるから「今は夜だ」と暗くなったのが分かったり、誰かにさわられると「敵が来た」と分かると思います。
ふでこさん: はい。
丸山先生: アゲハチョウの場合、エサのミカンやサンショウの葉っぱを食べて体でくさいものを作って、くさいツノを出すでしょう。そこからにおいを出します。「こうすれば敵が逃げてくれる」ということは何も考えず、もともと分かっていてやってるんで、「敵がくさいと思うから、やってやろう」とはおそらく思っていないんです。
ふでこさん: ふうん。
丸山先生: そうなると、自分がにおいを感じる理由はあまりない。少なくとも、自分では「くさいな」ということは分かっていないと思います。
ふでこさん: よく分かりました。
丸山先生: 人間が「くさい」と思うものは、大体食べてはいけないものや危ないものです。「くさい」という嫌な気持ちを持つことによって、腐った食べ物や毒のある食べ物を食べないように自分の体を守るためなんです。
昆虫は、自分の体を守るために「くさい」と感じる必要はないから、感じることがないことが多いんだと思います。
ふでこさん: はい。
石井アナ: ちなみに、ふでこさんはどんな実験をしてみたの?
ふでこさん: カメムシをカプセルに入れて、綿棒でつついてくさいにおいを出させて、アリ、バッタ、カエルとかにかがせてみました。
石井アナ: そしたら?
ふでこさん: 背骨のある動物はあまり反応しなかったけど、ちょっとだけ反応した虫とかもいました。
石井アナ: たとえば?
ふでこさん: バッタは、口から赤い液が出ました。
丸山先生: カメムシのにおいって、人間でいえばアルコールみたいな感じで、ツーンとする「揮発性」(きはつせい)という成分が入ってる。だから、もしかしたらほかの昆虫も、体にそれが当たると「これは危ないな」と思うかもかもしれないね。少なくとも、せまい容器にカメムシといっしょに入れるとその昆虫は死んでしまうので、「危ないものである」ということは、もしかしたらほかの昆虫も少し感じるかもしれません。
おもしろい実験なので、またいろいろやってみてください。「触角で感じるのか」とか、「どこで感じるのか?」というのもいろいろあるだろうし。
石井アナ: 「これだ!」という結論はみちびけなかったということだけど、いろんな条件を設定して試してみるのはすばらしいことだね。
ふでこさん: ありがとうございます。
石井アナ: カメムシ自体は自分がくさいのに気付いてないかもしれないけど、必要があって自分が何かを出していることは気付いている。納得してもらえましたか。
ふでこさん: はい。
石井アナ: ありがとう。きょうは質問を寄せてくれてありがとうございました。
ふでこさん: ありがとうございました。
石井アナ: またいろいろ分からないことがあったら質問を番組に送ってくださいね。
ふでこさん: はい。
石井アナ: ありがとう。さようなら。
丸山先生: さようなら。
ふでこさん: さようなら。

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2020年3月31日(火)放送より

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