冬芽は1年中ついているのに、どうして冬芽という名前なの?

質問者こなみさん

放送日2020年3月25日(水)

ざっくり言うと
のりたけこなみさん(小学校4年生・岐阜県)からの質問に「植物」の田中修先生が答えます
見かけにだまされないで! 1年中同じのように見えるけど、冬芽は夏の芽と中身がちがうんです
冬芽だけにあるのは「アブシシン酸」と「ジベレリン」。覚えておきましょう

テーマ

植物 田中修先生

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2020年3月25日(水)放送より

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放送日時:2020年3月25日(水)午前10時13分ごろ~午前10時21分ごろ

江崎アナ:江崎史恵アナウンサー
田中先生:田中修先生(甲南大学特別客員教授)
こなみさん:質問者


江崎アナ: 次の質問に行きましょう。岐阜県に住んでいるお友達です。こんにちは。
こなみさん: こんにちは。
江崎アナ: お待たせしました。お名前と学年を教えてください。
こなみさん: こなみ、4年生です。
江崎アナ: 植物についての質問ということですね。どんなことを聞きたいですか。
こなみさん: 冬芽は1年中あるのに、なぜ「冬芽」という名前がついたのですか。
江崎アナ: 「冬」に「芽」と書いて「冬芽」は1年中あるのに、どうして「冬芽」という名前がついているのか。田中修先生、お願いします。
田中先生: こなみさん、こんにちは。
こなみさん: こんにちは。
田中先生: 何か特別の植物のことを言ってるのかな? サクラとか、何でもいいの?
こなみさん: 何でもです。
田中先生: じゃあ、「冬芽って呼んでんのと同じ芽が夏にもあるやん」って言ってるんやね。
こなみさん: はい。
田中先生: 夏の芽と冬の芽の大きな違いは、冬の芽はわざわざ寒さをしのぐために作られたもんなの。ほんで、夏の芽はその年のうちに花が出たり芽が出たりする芽なの。一応そう分けるんやね。
せやけど、「見たところ、同じ形してるやん」って思ってるわけやね。
こなみさん: はい。
田中先生: でも、中身は全然違うんや。
たとえば、夏の芽はあたたかいとこに置いといたら、つぼみが出てきたり葉っぱが出てきたりするけど、冬芽っていうやつは、あたたかいとこに置いといても出てこないんや。葉っぱもつぼみも。
こなみさん: へえ。
田中先生: 「冬芽」っていうたら「冬の芽」やから、「寒いから葉っぱが出てきたり花が出てきたりするんやろ」と思われんのやけども、そうじゃないの。秋に作られるときに、冬芽っていうもんの中には「アブシシン酸」っていう物質が含まれてるんや。
こなみさん: はい。
田中先生: 覚えてみるか。せっかく電話してきたんやからね。
「アブシシン酸」。
こなみさん: 「アブシシン酸」…?
田中先生: そうそうそう。絶対出会うから。もうちょっと大きくなったら、アブシシン酸っていう物質にね。
すごく簡単に言ってしまったら、冬芽っていうもんの中にはアブシシン酸っていうのがあるの。同じ形をしてても、夏の芽にはないんや。
こなみさん: アブシシン酸が…。
田中先生: そのアブシシン酸っていうのが「あたたかくても芽を出ささへん」っていう働きするもんなの。
こなみさん: へえ。
田中先生: 次に、「冬芽はそんな物質をいっぱい持ってたら、春にあたたかくなっても芽が出えへんのちがうか?」っていう疑問が出てくる。出てくるね?
こなみさん: はい。
田中先生: せやけども、うまいことなってて、アブシシン酸は冬の寒さに会うと消えてしまうんや。なくなってしまう。
こなみさん: へえ。
田中先生: 冬芽っていうのは、冬の寒さに出会ってアブシシン酸をなくしてしまって、そしてあたたかくなったら、夏の芽と同じように芽を出したり花を出したりしてくるの。
こなみさん: へえ。
田中先生: 整理したら、こうなんのね。
冬芽と夏芽は、姿形はいっしょ。せやけども、中身はちがうの。物質がちがうのね。冬芽はアブシシン酸を持ってるの。これがあるために、ただあたたかいだけでは芽が出てこない芽なの。
分かってくれてる?
こなみさん: はい。
田中先生: 冬の寒さで分解されたら、芽やつぼみが出てくんのね。
今、サクラがいっぱい咲いてきてるやろ。あれ、秋に冬芽を持ってたんやね。「あたたかくなったらサクラは咲く」っていうけども、ことし一番早く咲いたのはどこか知ってる?
こなみさん: …沖縄?
田中先生: ああ…そや。ふつうは沖縄とか九州とかあたたかいとこがそうなるんやけど、ことしは東京やったんやね。ソメイヨシノの一番は。
こなみさん: ええ?
田中先生: 「なんで九州や四国のあたたかいとこのほうが早くあたたかくなるのに、あかんかったん?」っていう疑問が出る。ことし、あたたかい九州の鹿児島とか四国の高知とかは、冬の寒さがきびしくなかったんや。っていうことは、アブシシン酸がすっきりと減ってくれなかったんや。
こなみさん: だから咲かなかった。
田中先生: だから遅くなってるんやね。東京は寒さがきびしくて春にあたたかくなってきたから、東京が一番になったの。
こなみさん: へえ。
田中先生: サクラの開花って、「春、あたたかくなったら咲くんや」って簡単に言ってるけど、そうじゃなくて、必ず冬芽の中にあるアブシシン酸っていうのを寒さで分解したあとに、あたたかくなったら咲くんや。
こなみさん: 全部なくなって咲くってこと?
田中先生: そうそう。
こなみちゃんは小学校4年生かな。じゃあ、さっきのアブシシン酸を覚えてくれたら、もう1個ついでに覚えようか。
こなみさん: はい。
田中先生: あたたかくなったらできてくるもんがあって、それが「ジベレリン」っていう物質なんや。
こなみさん: ジベ…。
田中先生: ジベレリン。
こなみさん: ジベレリン。
田中先生: そうそうそう。それが冬芽の中にあったつぼみをガーッと育てて花を咲かすんや。「アブシシン酸とジベレリンっていうので冬芽が春の開花を迎える」っていうのを知っといて。いいですか。
こなみさん: はい。
江崎アナ: こなみさん、アブシシン酸とジベレリン、いつか「あのとき田中先生が教えてくれたあれだ!」と思うときが来るかもしれないですよ。
こなみさん: はい。
江崎アナ: そのことを胸に抱きしめて、また疑問に思ったことがあったら電話してきてくださいね。ありがとうございました。さようなら。
こなみさん: ありがとうございました。
田中先生: さようなら。
江崎アナ: 「東京が一番先に満開になったのは、どうしてだったんだろうな?」というのを、分かりやすく説明していただいてありがとうございました。

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2020年3月25日(水)放送より

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