どうしてヒヨドリは紫色のモクレンばかり食べるの? 白いモクレンは食べないの?

質問者まひろさん

放送日2020年3月20日(金)

ざっくり言うと
おおいまひろさん(5歳・大阪府)からの質問に「鳥」の川上和人先生が答えます
紫のモクレンが特別おいしいわけじゃなくて、安全な場所にあったから食べに来たのかも
ヒヨドリが来ないようにするのは難しいから、「豊かな自然」だと考えるようにしてみよう。来なくなる方法は研究中なので、もう少し時間をください!

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鳥 川上和人先生

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2020年3月20日(金)放送より

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放送日時:2020年3月20日(金)午前10時31分ごろ~午前10時45分ごろ

吾妻アナ:吾妻謙アナウンサー
川上先生:川上和人先生(森林総合研究所主任研究員)
塚谷先生:塚谷裕一先生(東京大学大学院理学系研究科教授)
まひろさん:質問者


吾妻アナ: こんにちは。
まひろさん: こんにちは~!
吾妻アナ: お名前と年齢、教えてください。
まひろさん: まひろです! 5歳です!
吾妻アナ: 5歳のまひろさん、質問は何ですか?
まひろさん: どうしてヒヨドリは紫のモクレンばかり食べるの? 白いモクレンは食べないの?
吾妻アナ: まひろさんが見ていて、紫のモクレンばっかりヒヨドリが食べちゃう、白いモクレンはあんまり食べてないんじゃないかな? って気づいたのかな?
まひろさん: うん!!
吾妻アナ: ほ~。それはなんでなのか、聞いてみましょうね。鳥については川上先生です。
川上先生: はい。どうもこんにちは、川上です。
まひろさん: こんにちは~。
川上先生: 白いモクレンと紫のモクレンで、「紫のモクレンが食べられていた」ということなんですけれども、よく観察してますね。すごいです、ちゃんとよく見てて。じゃあ、その白いモクレンと紫のモクレンはどこにありました? おうちにあったのかな、両方。
まひろさん: ううん。両方じゃないけど、紫のモクレンは、うちにある。
川上先生: 紫はおうちにあって、白いモクレンはどこにありました?
まひろさん: 近くの公園にある。
川上先生: 近くの公園にあって、そこはあまり食べられていなかったんですね? そっか、そっか。分かりました。
じゃあ白いモクレンのほうは食べられないのかというと、実は、別の場所やほかの地域では白いモクレンの花もヒヨドリに食べられるということが、よく見られているんですね。だから、色で「こっちはいやだ、こっちはいい」と見分けているわけでは、たぶんないと思います。
まず、なんでモクレンの花を食べるんだと思いますか? まひろさんは、モクレンの花、食べたことありますか?
まひろさん: な~~~い!!!
先生たち: (笑)
川上先生: 実はね、僕も食べたことがないです。じゃあ、もしかしたらおいしいのかもしれないので、ちょうど植物の先生がいるので、モクレンの花がおいしいのかどうか、ちょっと聞いてみたいと思います。塚谷先生、いかがですかね?
塚谷先生: はい(笑)。まひろさん、こんにちは。
まひろさん: こんにちは~。
塚谷先生: うちだとハクモクレンという白い花のモクレン、食べられちゃうんですよ。シュモクレンという紫のモクレンも食べられるんだけど、確かにヒヨドリがたくさん食べちゃうので、前、気になって。あと、シデコブシというのが同じ仲間であるんですが、あれも食べられちゃうので、「そんなに食べるんだからおいしいのかな?」と思って、かじったことがあります。かじってみたんだけど、別に甘くも何ともないんですよね。人間の舌にはおいしくなかったというか、特に味はしないです。
まひろさん: えぇ~!
川上先生: ありがとうございました。というわけで、どうもモクレンの花はあんまりおいしくない。甘くておいしくて食べちゃうわけじゃないみたいなんですよね。
まひろさん: そうなのぉ~?
川上先生: ためさなくていいからね(笑)。
じゃあ、何で食べるのかっていうのを考えたときに、モクレンの花っていつの時期に咲いてますか?
まひろさん: う~ん……。2月とか3月の終わりとか。
川上先生: 正解です! 2月とか3月です。じゃあ、ヒヨドリがふだん何を食べてるのかっていうと、ヒヨドリっていうのは昆虫とか植物のフルーツ、果実、木の実とかが大好きでよく食べるんですけれども、2月とか3月というのは昆虫が出てくるにはまだちょっと寒いし、おいしい木の実とかもかなり減ってしまっていて、たぶん食べ物がすごく少ない時期なんだと思います。そうすると、あんまりおいしくないけれどもモクレンなんかも食べちゃうんじゃないかな? って思います。
まひろさん: へぇ~。
川上先生: うん。あまりおいしくないけれども食べる。そのときに、なんでまひろさんさんのおうちのは食べられて、公園のは食べられないかというと、たぶん「味」じゃない、別の理由があるんだと思うんですよ。
まひろさん: え~!?
川上先生: うん。何だと思いますか?
まひろさん: 分かんない……。におい~??
川上先生: うーん。たぶん僕は、公園よりもまひろさんのおうちのほうが安全なんじゃないかな? って思います。
まひろさん: そうなの~?
川上先生: うん。例えばね、公園は開けていて、ヒヨドリを木の上で襲ってくるような、タカの仲間とかに見つかるかもしれないですよね? それに比べると近くに人間がちゃんと住んでいて、なかなか近寄ることができない家のモクレンのほうが、もしかしたら安全なのかもしれないです。
まひろさん: うーん。
川上先生: 本当にお家の周りがそうなのか、見てみないと分からないんだけれども、鳥は同じような食べ物の同じ味のものがあったら、たぶん安全なところで食べると思うんですよ。
まひろさん: へ~。
川上先生: だから、まひろさんのお家はきっと鳥にとっても安全な、いいところなんだってそう思います。
まひろさん: そうなの……。
川上先生: うん。モクレン食べられて嫌だなって思いますか?
まひろさん: ……うん。
川上先生: きれいな花が咲いてくれるといいな、きれいな花見られるといいなと思いますよね?
まひろさん: うん。
川上先生: じゃあそれを止める方法があるのかというと、とても難しくて。鳥は飛んで来てしまいますし、やっぱりおいしいもの、食べられるものがあると、やっぱりそこにやって来ちゃうんですね。来ないようにするのはとても難しいので、そうすると変えることができるのは何かというと、まひろさんの見るときの気持ちを変えてみるといいかな? って思うんですよ。
まひろさん: うん。
川上先生: 例えば、自然の中にいて、きれいなお花があったり、きれいな植物があったりするとうれしいです。でも、例えば花がちぎれていたり、葉っぱが虫に食われていたり、クモの巣が張っていたりすると「ああ、なんか嫌だな」って、ちょっと思ったりすることありませんか?
まひろさん: ある!!
川上先生: きれいなほうがいいなって思うでしょ? でも、きれいじゃないということは、そこに他の生物が生きているということを表しています。
まひろさん: えー!!
川上先生: うん。だからクモの巣があるってことはそこにクモがいるということだし、クモがいるっていうことはクモが食べる昆虫がいるということなんですよね。植物が食べられて、葉っぱがギザギザしちゃってると思ったら、それはその植物を食べる昆虫がちゃんとそこに生きてるということで、実は人間にとって「きれいじゃないな」と思う自然のそういう部分というのは、本当はたくさんそこに生物がいるんだということの証拠なんですよ。
まひろさん: そうなの?
川上先生: そういうことなんです。例えば木の実がなっていて、誰も食べなくてきれいなままだったら見た目はきれいなんだけれども、そこには他の動物がいないっていうことになっちゃうんだよね。でも、それがつつかれて食べられていて、そこに昆虫がくっついていて、その昆虫がいっぱい食べてて、「いっぱいぐちゃぐちゃして嫌だな」と思うかもしれないけども、そこはいろんな生物のいる、とても豊かな世界なんだと見ることができるんですよ。
まひろさん: そうなの……。
川上先生: だから、きれいなものというのは確かに見た目はきれいなんだけれども、それはそれでそういうきれいな価値というのがあると思います。その一方で、そうやってきれいじゃないものを見たときに、今回はまひろさんはモクレンの花を見てその花が食べられているのを見て「あ、これヒヨドリが食べたんだ、ここにはヒヨドリがいるんだ」っていうことに気づいたと思います。ヒヨドリがいるっていうことは、たぶんほかにも食べるものがあるわけだし、敵に襲われないようないい環境があるわけだし、もしかしたら昆虫なんかもいろんな木の幹とかにいっぱい付いていて、「あ、虫がいて嫌だな」って思うかもしれないけども、虫が生きていくことができるだけのいい環境があるんだなというふうに考えることができると思うんですよね。
まひろさん: ふ~ん。
川上先生: だから今度、モクレンだけでなく、いろんな自然を見るときに、「葉っぱがちぎれてるなぁ、こんなところがこんなふうに折れちゃってるな」というときに、「もしかしたらこんな動物がいるのかもしれない、こういう理由があるのかもしれない」って思って見てあげると、単にそれは汚れとかあまりよくないものではなくて、「あ、生物がたくさんいる証拠なんだな」というのが分かるんじゃないかなと思います。
まひろさん: そっかぁ……。
川上先生: だから、ヒヨドリが花を食べるのは止められないので、ちょっとだけ考え方を変えてあげてもらえると、そしたら自分にとってもすごく過ごしやすくなるんじゃないかなと思います。
まひろさん: そっかぁ。
川上先生: また見てみてね。
まひろさん: うん!!
吾妻アナ: 川上先生、モクレンは紫も白も区別してヒヨドリが狙って食べてるわけじゃない?
川上先生: おそらく、周りにある食べ物の量であるとか、そこの危険性、他の動物に襲われないか……、というようなことが原因になって、食べたり食べられなかったりというのが決まってきてるんじゃないかと思います。
吾妻アナ: 「まひろちゃんのおうちの紫のモクレンが安全で食べられるから来てる」という考え方があるということですね。
川上先生: そうですね。
吾妻アナ: まひろさん、分かりましたか?
まひろさん: う~~~~ん。分かんなぁい……。
川上先生: 分からないこともあるよね、分からないことっていっぱいあると思う。それはしょうがないことなので、またちょっと僕がきょう言ったことも考えてみて、もしかしたら自分で「あっ! こうかもしれないな」と思うことが見つかるかもしれないから、またちょっと考えるきっかけにしてもらえればうれしいです。
吾妻アナ: 食べられないようにする方法が知りたいのかな?
まひろさん: うん!!
吾妻アナ: 川上先生、これ、例えば、その………、
まひろさん: カラスぶら下げてるの!
先生たち: カラスぶら下げてるのかぁ!!(笑)
川上先生: あのね、でもね、鳥って頭がいいからそうやって「何かしてこないように」というのは、すぐに慣れちゃうんですよ。
まひろさん: え~……。
川上先生: 「本当は危険じゃない」というのが分かっちゃうから、最初はちょっと来なくなったりとかするかもしれないんだけれども、なかなかそれをずっと続けるっていうのは難しいんです。
まひろさん: そうなんだ……。
川上先生: そうなんだよ。例えば、じゃあ食べ物がないんだったらほかに食べ物を周りに置いてあげればいいかなという考え方もあるんだけども、そうすると確かにその食べ物のほうに鳥たちが寄ってきて、モクレンは食べられなくなるかもしれないんだけれども、今度はたくさん鳥が寄ってきちゃうから、余計にその鳥たちの中で競争があって、「じゃあモクレンも食べちゃおうかな」という可能性もあるんだよね。
まひろさん: きもちわるい……!!
先生たち: (笑)
川上先生: え~、気持ち悪いかぁ~(笑)。
だからね、とても難しいんです。実はヒヨドリに花が食べられたり、花だけじゃなくて農作物が食べられたりというのはすごくたくさんあって。みんな、どうしようかなって困ってるんです。難しい問題です。
吾妻アナ: なかなか食べられないようにするのも難しいし、「なんで紫ばっかり食べるの?」ということの答えは難しいってことなんだけど、ここまでのお話って、何となく分かったかな?
まひろさん: 分かった。
川上先生: うん、ごめんね、簡単に「こうすればいいんだよ」という答えを見つけて教えてあげられれば、それがすごくよいなと思ったんだけども、それはまだ僕たちも悩んでいるところなんです。これから頑張って研究する人たちが研究して、どうやればいいかというのはまた考えていくと思いますので、もうちょっと時間をください。
まひろさん: は~い!
吾妻アナ: まひろさん、「なんでかな?」って考えることはすっごくすてきなことだから、いっぱい考えて、また質問があったら電話してくださいね。
まひろさん: ハ~~イ!!
吾妻アナ: はい、どうもありがとうございました。
まひろさん: ありがとう!
吾妻アナ: さようなら。
まひろさん: バイバ~イ!!
吾妻アナ: バイバ~イ!
……はい。最後、ちょっぴりホッとしましたね、ドキドキもしましたけども。分からないことを分からないままって、しかたないとは思うんですけど、頑張りたいところもありますね。

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2020年3月20日(金)放送より

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