魚は何年も人間に食べられてきたのに、なぜ食べられないように進化しないのですか?

質問者すずねさん

放送日2018年8月29日(水)

ざっくり言うと
ふくだすずねさん(小学校3年生・東京都)からの質問
水中の生物の林公義先生が回答
林先生お手上げ! 食べられないようには進化できない

テーマ

水中の生物 林公義先生

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放送日時:2018年8月29日(水)午前11時11分ごろ~午前11時21分ごろ

JOY:JOY(じょい)さん
アンジー:安治美穂さん
林先生:林公義先生 (横須賀市自然・人文博物館 前館長)
すずねさん:質問者


JOY:続いては、東京都のお友達と電話がつながっています。もしもし。
すずねさん:もしもし。
アンジー:こんにちは。
すずねさん:こんにちは。
JOY:名前と学年を教えてください。
すずねさん:小学3年生の、すずねです。
JOY:すずねさん、今日はよろしくお願いします。
すずねさん:よろしくお願いします。
JOY:すずねさん、今日はどんな質問をしたいのかな。
すずねさん:水の中に住んでいる魚は、何年も人間に食べられてきたのに、なんで食べられないように進化しないんですか。
JOY:おお。そうか。この質問、すごい面白い考え方だと思いましたけど、これはぜひ、林先生にお答えいただきたいです。
林先生:すずねさん、こんにちは。
すずねさん:こんにちは。
林先生:すずねさん、すごい質問をしてくれたんだけど。はっきり言って、ぼくは答えがこれ見つからないです。
JOY:あら。すずねさん、すごいよ。
林先生:答えが見つからないんだけど、すずねさんと、このことについてお話をしてみたいなと思ってました。
JOY:じゃあ行きましょう。
林先生:すずねさん、進化っていう言葉は知ってますか。
すずねさん:知ってます。
林先生:知ってますね。なぜ生きものはいろいろ進化を繰り返してきたか、また進化をこれからも繰り返していくか、っていうことが、大きな問題になると思うんだけども。人間が、何百年に近いあいだ、海の生きものを獲ってたくさん食べてるんだよね。
すずねさん:はい。
林先生:魚がなぜ食べられないように進化しないんですか、っていうことになると、実は、食べられないようになるというかたちには進化しないのね。これ、ちょっと難しいんで、お話ししますね。
すずねさん:はい。
林先生:例えば、生きものっていうのは、同じ環境に生活しているものが多いとすると、何種類もの生きものがいますよね。
すずねさん:はい。
林先生:その生物は自分がそこで生活していくために、有利になるように…例えば、エサが自分だけたくさん食べられるようにとか、それから住む場所がすぐ見つかるようにとか、自分の子孫がたくさん残せるようにとかっていうような、そういう自分に有利に働くように、「生活型」、つまり、「生きていく方法」をちょっと変えたりするのね。
すずねさん:ふうん。
林先生:その「生活していく方法」を変える1つの現象として、例えば、羽が生えてきたり、尾っぽがついてきたり、足の爪が長くなったりとか、いろんな形に変化ができてくるわけ。
すずねさん:うん。
林先生:これもね、進化なんですよね。
すずねさん:はい。
林先生:それで、すずねさんの質問にあった、「なんで食べられないように進化しないんですか」っていうと…例えば、人は、水の中に生活してないよね。
すずねさん:してない。
林先生:人は陸上で生活している生物だよね。
すずねさん:はい。
林先生:魚を例にとってみようか。水の中に生活している生物で、いつも魚が見ている、水の中にいっしょに生活している、いろんな動物を見てると、やっぱり魚だとか、もっと大型のイルカだとかクジラとかもいるけれども、水の中の生物なんだよね。
すずねさん:うん。
林先生:そうすると、その生物と同じ水という環境の中に生活してるので、魚は、いい場所を見つけようとしたり、自分がほかのものに食べられないようにするとか、いろんな工夫をして、それで形をかえたり住む場所を変えたりして、工夫をしてきたわけ。
すずねさん:へえ。
林先生:これが、もう何千年とか何万年とかって、進化にはすごい時間がかかるわけよね。
すずねさん:うん。
林先生:その長い時間の中で、今の地球上にいる生きものが安全に生活している。だけど、食べたり食べられたりっていう、そういう生活は、昔からあるわけだ。
すずねさん:うん。
林先生:ところで、人間なんだけど…人間は、地球上の生きものの中で、多分一番頂点に立ってる生きものだろうと思うんだよね。
すずねさん:うん。
林先生:だから人間は、魚の習性だとか、エビだとかカニの習性だとか、要するに生き方とか、っていうのをよく知ってるから、何でもつかまえて食べちゃう。
すずねさん:うん。
林先生:ところが、ふだんいっしょに生活している動物ではないから、魚はそれに対して…要するにその人間にとられないようにとか、食べられないようにとかっていう工夫を、魚は少しもできないんですよ。
すずねさん:はい。
林先生:でも、魚は学習によってね、いろんなことを学習することによって、失敗を防ぐことはできる。
すずねさん:うん。
林先生:だから、1回覚えた失敗っていうのは、もう2度としない。
すずねさん:ふうん。
林先生:だから、群れで泳いでる魚は、その群れが壊されて小さくなれば、同時に食べられることはないから、大きな群れをつくる。大きな魚にエサとして食べられようとするとき、小さな群れになって分散してリスクを少なくしようとする。そういう工夫はしてるわけ。
すずねさん:はい。
林先生:ところが人間はね、ちょっとそれより…何というかな。優秀だから、大きな網をつくって根こそぎ獲っちゃうんだよね。
すずねさん:網を破るために、進化することはないんですか。
林先生:そうだよね。そういうことが本当にできてくる可能性はゼロではないとは思うんだけど、ものすごい時間がかかる。
すずねさん:はい。
林先生:その前にね、一番怖いのは、人間が、例えば、水の中の生きものを食べる魚を獲りすぎちゃって、魚自体も絶滅しちゃうと、人間を食べるものがなくなって絶滅する。
すずねさん:うん。
林先生:そういうことができる。ある意味では、それが、水中の生きものの、人間に対する復讐(ふくしゅう)になるかもしれないな。ちょっと怖い話になっちゃうんだけど、ものすごい考えさせられる質問だと思います。
すずねさん:はい。
林先生:すずねさんは、「どうして人間に食べられないようにならないんだろう」って、どういうときに感じたわけ?
すずねさん:毎日、晩ごはんに魚が出てくるから。なんでこんなにつかまるんだろう、って思って。
林先生:そうだよね。スーパーに行ったって毎日ものすごい量が並んでるもんね。
すずねさん:そう。
林先生:でもね、すずねさんの心配もすごくよくわかるけど、地球の生きものって、今の状況をもう少しコントロールすれば、本当に食べられるものがなくなっちゃうってことはないと思う。
すずねさん:……。
アンジー:すずねさん。林先生のお話聞いて、どうですか。
すずねさん:感心した。
林先生:ぼくもすごく勉強になりました。
すずねさん:えっと、1回釣られて、またもどした魚は、もう釣られるってわかったから、釣られないようになるんですか。
林先生:そういうことはあります。
すずねさん:あ! へえ。
林先生:痛みを感じるとかそういうことじゃなくて、うまく釣り針から逃れられた魚は2度目はかからない、とかっていうことが割とあるんですよ。
すずねさん:へえ。
林先生:釣りをやってる人は、そういうことをよく知ってますね。だから逆に、逃がした魚をまた釣ってやろうという仕掛けも、また出てきて。
すずねさん:ああ、なるほど。
林先生:魚もどんどん学習してると思うよ。
すずねさん:はああ…そうなんだ。
アンジー:すずねさんは、魚たちに助かってほしい?
すずねさん:えー…。
林先生:でも、開きが食べられなくなっちゃうよ。
すずねさん:うーん…食べたいから…
JOY:食べたいもんね。
すずねさん:みんなで、がんばる。
JOY:ぼくたちもがんばるし、魚さんにもがんばってもらおう。すずねさん、すてきな質問ありがとう。
すずねさん:ありがとうございました。

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