山口一郎(サカナクション)

さがす、
あそびを、
教えてくれた。

山口一郎:
FM50周年、おめでとう。

ーー山口さんが最初にラジオを聴いた記憶って・・・

山口一郎:
本当に初めて聴いたのは、父親の車の中で、野球中継ですね。僕、中日ドラゴンズのファンで。北海道だったんですけど、周りにドラゴンズファンがいなかったですし。ニュースも北海道はジャイアンツだったんで、当時。ジャイアンツのニュースしか流れてなくて。ラジオからしかそのドラゴンズの情報が入ってこなかったんですね。だから、ボクはその野球中継を聴く、オヤジと聴くって言うことが、最初のラジオの出会いですね。

積極的に聴き始めたのは、小学校6年生から中学校1年生ぐらいの時で。姉が隣の部屋だったんですよ。壁が薄いものですから、姉の部屋から音楽が聞こえてきて。姉が何を聴いてるのかを聴いて、自分がその音楽を真似して聴くみたいなことがまあ、ちっちゃい頃よくあって。只、姉が何を聴いてるのかが分からなくて。で、姉の部屋から聞こえてくる音楽が何なのかな?って言うのを探すのにラジオを使って音楽を探してたりとかしてました。

あと、僕が大きくラジオに傾倒して行った番組、「ラジオ図書館」っていうのが昔あって。番組名が「ラジオ図書館」だったのかちょっと覚えて無いんですけど。ラジオで声優さんがいて、物語を読んで行くって言うのがあって。

ーーああー、文学。

山口一郎:
文学。で、自分が読んだことがある物語とかもそのラジオ図書館でも放送されるんですですけれども。絶対自分が手を伸ばさない小説とか、恋愛物とか、そういうのもたまに流れたりしてて。時々すごいイヤらしいのも流れたりしたんですよ。ちょっとそういう喘ぎ声とか、そういうのも入ったりしてて。何かねえ、カルチャーショックだったって言うか。

今までは自分が本を読んで、その読んできた言葉を自分の中で解釈してたのが、ドラマとかと違って読み手がそれぞれいて。主人公にもキャラがあって、登場人物にもキャラがあって、ナレーターがいてっていう感覚で物語をラジオで聴いた時に。自分が本を読んでいる感覚とは違う形で文学が入ってきて・・・
ああ、文学って音になると感じ方が変わるんだなあと言うのをラジオで知ったのは結構大きなキッカケで。それから結構ラジオ図書館って言うかそういうのを探して聴いたりしてましたね。

あと、あれですね。お医者さんがいて、パーソナリティーの人がいて。視聴者(聴取者)に電話して視聴者からの電話を受けてウチのお爺ちゃんがどこどこ痛がってて、これ病院に行った方が良いですか?って言う電話をパーソナリティーが受けて。そこにいる医者が答えるって言う番組があって。それがすごい好きで、エヘヘ。何かこう、生活が見えるじゃないですか?一般の人の。本人じゃなくて、お婆ちゃんとか息子がどうだとか。母が体調悪くてとか、旦那が悪くてとか。で、それを様々な医者がラジオで答えて行くっていうその向こう側の状況がすごく面白くて。自分以外の家族が見えるって言うか・・・で、ホントに悩んでいらっしゃるんですよ。その悩んでる感じとかもすごく面白くて。何かそれかぶりつく様に聴いてました。確かお昼時とか夕方ぐらいにやってた番組だったんじゃないかな?それ録音して聴いてましたね。ハッハッハ。

高校行ったりすると、ラジオ聴いてる友達とかがいて。何かあれが面白いよ、こういう番組があるよとか、深夜遅くまで起きてられるようになって。聴くようになりましたけど、それまでは何かそういう、社会を知るとか、自分が好きなジャンルの捉え方を変えると言う意味でラジオっていうものを利用して。車の中では、基本的に父親の野球中継しか聴いてないっていうか?あんまり音楽って言う物に触れるのは、実家が喫茶店だったんで。自然にもう、音楽が流れていたから。ラジオから得るって言う事はそんなに、若い、小さい頃はなかったです。大きくなってからかな?うーむ。

ーーFMラジオっていうので何か?思い出ってありますか。

山口一郎:
FMラジオでの思い出?その、AMってモノラルじゃないですか。FMってステレオで。そのステレオとモノラルの違いって言うのをラジオで知ったのは、大きかったですね。なんでFMって音が良いんだろう?っていうのを調べて。あ、ステレオだからなんだって。それを知って、FMで聴く様になったりとか、自分が好きな曲をFM局で探すとかに分かれて、自分の中で変わって行きましたけど。

ーーそれで原体験を持って、今、仕事をしながら、ラジオで皆さんと繫がっています。どんなことを、どんな風に楽しんで欲しいと思ってされてますか?

山口一郎:
その、ラジオの良いところって幾つもあるんですけど。何か?今ってこう、自分で楽しみたい物を自分で選ぶ時代じゃないですか?ユーチューブとかもそうですし、何か好きなものを自分で選んでそれを好んで捉え、取り続けるって言うか?でも、ボクらインターネットがなかった時代のオフライン世代の人たちって、何か自分が好きな物を探してるうちに、全く違う物に辿り着いたりだとか。何かこう、出会いみたいな物が、出会いの種類みたいなものが今と違った気がするんですよ、遊び方とかも含めて。何か浴びる遊び、今の人たちってこう、浴びる遊びが多いと思うんですけど。僕らは探す遊びが多かったと言うか?・・・

ーーなにか決め台詞を頂くとすると。

山口一郎:
ラジオって言うのはその探す遊びとしての、ものすごい大事なツールだし、メディアだと思ってて、サカナクションの山口一郎って言う存在を知らない人も、例えば車で運転してて。僕が喋ってる内容とかに共感してくれたりとか、昔のことを思い出してくれたりするとか。僕が流した音楽に対して、こう全く古き良き音楽だとしても、若い世代がそれを聴いて新しい音楽として捉えれるとか。本当の意味での、何て言うのかな?伝道者じゃないけど。何かそういう役割りの様な気がするんですね。昔はやはり、ホントに上手にしゃべれるとか、噛まないとか。そういった事のプロフェッショナル性みたいな物は大事だった時期もあったと思うけど。今は何を伝えるか?っていうその一つのコンセプトみたいな物の方がラジオは大事になって来てるような気はしてますね。