向谷実

ぼくらに
しゃべりかけてくれる
口のような存在。

向谷実:
FM50周年、おめでとうございます。

ーー向谷さんの最初にラジオと、出会われたきっかけ、いつぐらいでどんな番組と出会ったでしょうか?

向谷実:
一番最初ってなんだったかな。まあ僕これFMの最初から聴いてますから、年齢的には。ですから、まあラジオとして、すごいなーと思ったのは、家にあの、ステレオが入って、で、ステレオで左右違う音が聴こえるっていうのを、レコードや、このFM放送で知ることが出来て、それがものすごく興奮したし、そういうのが音楽家としてのきっかけにもなったし。それから私がやってる鉄道の仕事のきっかけも、これ、誰に聞いても皆さん、あんま覚えてらっしゃらないんですけど、NHKだったかな、FMで、時報かなんかの時に、蒸気機関車の音が右から左に、カーって流れてて。

ーーへー。

向谷実:
で、その蒸気機関車、逆側に聴こえた時は、スピーカーの接続を変えてくださいっていう、そういう注意放送があった記憶があるんですけど、僕もだいぶ年取っちゃったんで、色んなNHKや、ラジオの人に聞いても、あったような無かったようなって言って。僕はそれがすごい大っきな印象で、その蒸気機関車の躍動するステレオ感に影響されて、やっぱり鉄道関係、鉄道が好きになったり、鉄道の関連する仕事をするようになったっていう点でも、ラジオ、特にFMの影響はものすごく大っきいですね。はい。

ーーあの、遠くから、シュシュ、シュシュ、って近づいて来て、

向谷実:
それまでモノラルのAM放送で、テレビ自体もおそらくモノラルでしか聴けなかった時代に、ステレオ放送というのは、家にステレオを置いてFMで聴く、もしくはステレオ録音のレコードを聴くっていうその2つしか無かったので、そのステレオっていうその、まあ立体ではないんですけど、その左右のテイに分かれてるっていう音がとても刺激的で、新しいもんだなって感じましたね。ちょうど小学校高学年ぐらいだと思いますよ。中学一年のちょっと手前ぐらいかもしれない。はい。

ーーそれを小学校の頃に聴きはじめて、最初はそのステレオの迫力っていうものをお感じになったし、思春期になってFMとの関わりっていうのは変わっていったんでしょうか?

向谷実:
そうですね。やはり音楽を聴く楽しみっていうのは、自分で、今はCDですけど、あのLPを買ったりするんですが、それのために必要な情報っていうのは、やはり、当時よく言われてたことって、エアチェックっていう、そのFMの番組を聴いて、カセットテープに落とすと。でそれも番組を作る側も、ただアルバムを流すだけじゃなくて、パーソナリティって今は言わないですけど、DJの人とか、そういう選曲の人達が、その曲を紹介したいっていう気持ちの中で、大変個性的な曲順とか、そういう、国内外問わずですね、音楽に関する情報がFM放送からたくさん入ってきたんで。それは非常に、音楽を好きになる、音楽を色々やってみたくなるっていう、部分に関してはFM放送のメディアとしての位置付けっていうのは、当時からすごく強かったと思うんですよね。はい。

ーーそういう30分なり一時間のプログラムを、物語のようにして、色んな曲を聴くという?

向谷実:
そうですね。そのFM、まあ今みたいにネットの時代じゃないですから、FM自体が情報発信元として非常に大きかったと思いますね。もう関連する雑誌もたくさん出てましたし、そのFM、まあ今ももちろんそうなんですけれども、FMの、Hi-Fiなオーディオと、それからまだその闇雲に、LPを買って、聴き比べるほど財力もない、一般的な立ち位置だと、FMから聴こえてくる情報っていうのは自分で選択と集中も出来るし、音楽の上でですね。そこで好きなアーティストとか、好きな音楽っていうのがどんどん形成されていく、そんな自分もいましたし、そういう時代だったんじゃないかなと思いますね。

ーーそうしてFMで、音の世界が開かれて、ステレオに夢中になって、今、音楽をされてさらに、こうして皆さんに今度は自分がFMを通して、どんなことを心がけたり考えたりされてますか?

向谷実:
今あの、ミュージックエクスプレスという番組をやらしていただいて、結構経つんですけど、まあこれはリスナーの皆さんに、自分がこういう曲をご紹介したいっていうことをもちろん基本のスタンスにしてるんですけど、紹介した後に、自分が紹介してるにもかかわらず、その音楽をまた再度聴いて覚醒されてたりするんですね。あ、そうか、僕はこの音楽を紹介する背景にはこういう意識があるんだなっていうのを、この放送の収録中に、気付かさせていただくことが多くて、非常にこの番組が、やっててやり甲斐があるのはですね、番組の収録も、現場の皆さんとお願いして、一応全曲フルで時間どおり、ほぼ、その尺通りって言ったらいいんですか?そういう形でやってるんで、やはり自分なりのストーリーが確認できるし、その中に秘めている自分の潜在的な意識に僕も気が付くし、リスナーの皆さんにもいい意味で伝えていけてるのかなっていう風に思える番組になってます。

まあ以前からFMの番組、色々パーソナリティやったこともありますし、ゲストに出た時は、番組ってどういう位置づけなのかなっていうのを勉強させていただいてた事もありますし、まあ番組を持ってる時に、ゲストコーナーを持った番組をやったことやるんで、非常にこのFMの番組っていうのは、声で維持してるってだけにですね、その全景、全容を知っていただくってのはそれなりに、やはり意識が必要だと思うんですね。だから僕は、こういう番組やる上で、一番大事にしてるのは、やっぱりそこで見えてる何かを、感じていただければなーというものをラジオでできればなと、音だけで、色んなイメージや雰囲気や、人の考えや心の中とかが、伝わるものがやっぱりラジオの魅力だと思いますし、まあそれをちょっと、私のいくらかはそれが出来てたら良いなと思って、毎回やってます。

やっぱり、僕がラジオの番組やってる時って、もしそれを見てる人がいたら、ものすごく楽しく動きながら、一緒に歌ったりしてるのを見ていただけると思うんですけど、やっぱりそういった紹介する曲の持っている素晴らしさっていうのを、一緒に感動しながら聴いて頂いてるなっていうのが、もうホントに、この番組の自由度っていうんですかね、自分の好きにやらせてもらってるところなんで、そこで、いやあこれはあんまり自分としては、紹介できないなっていう曲を、自分が紹介することはしてませんので。そういう点では、何ていうんでしょうね。責任をもった番組作りっていうのを心がけてますし、それによって、気付かされることも結構あるので、大変いい意味でのルーチンが出来てるのかなって思ってます。

ーーラジオって、向谷さんにとって、こうなんですっていうのを、そんなことをうまく引っ掛けて話していただくと。

向谷実:
ラジオですか。まあラジオっていうのはやっぱ僕にとってはですね、僕の、もしかしたら、口かもしれませんね。なにか自分が言いたい事とか、知ってもらいたい事。ラジオって昔、口みたいな格好してたじゃないですか。まあ口かどうか分かりませんけどね。そんなもんじゃないかと思いますけども。