池辺晋一郎

クラシックは、
分かりにくくもないし、
高尚なものでもない。

池辺晋一郎:
FM50周年おめでとうございます。

ーーラジオに最初に関わられたのって・・

池辺晋一郎:
え。(笑)

ーー自分がプライベートで初めてラジオを聴くようになったとか

池辺晋一郎:
あぁ、そうか。

ーー最初にラジオ聴いた時の思い出とか何かありますか?

池辺晋一郎:
一番ラジオにお世話になったのは、本当に幼少期ですよ。僕はね、体が弱くて小学校入るのが1年遅れてるんですけどね。その1年間に色んな事が始まったんですけど、作曲する事も、本を読む事も、ラジオを聴く事もそこに含まれるんだけども、ラジオを聴いて、例えばあの頃はね、朗読とか童話とかお話の時間が多かったんですよ。今もあるのかな?もちろん僕は病気で寝てる訳ですけど、それを布団の中で聴いて。それからちょっと体調の良い時に思い出して、そのお話を自分で、自分雑誌を作って書いたんですよ。挿絵も描いて。でもでも全部は思い出せないから、途中から創作する訳です。出だしは覚えてるけど、その後は自分が勝手にお話を曲げてね、壊して、作り変えて、半分自分の創作にしちゃうていう遊びをよくやってたんですけど、それは本当に最初にラジオにお世話になった、且つ、ラジオを楽しんだ遠い思い出ですね。

でもね、不思議な事に、もちろん大人になってから、ある音楽出版社に頼まれて子供の為のピアノ曲集を作ったんですけど、これを全部その時の思い出で「お話ころんだ」っていう曲集にしたんですよ。お話が転んでるわけ。例えば、もちろん僕が作った曲のタイトルは子供の頃作ったものと同じじゃないですよ。大人になってから考え直したものなんだけど。例えば、「ピーターパン~もし高いところが嫌いだったら~」とかね。それから、「シンデレラ~もしゆるい靴が好きだったら~」とかね。そういう話を転ばせてっていうタイトルつけて、子供の為のピアノ曲集を書きました。もちろん出版されて、よく使われてる楽譜ですけどね。だから、結局その、最初ラジオの思い出は、結局仕事に、本当に後に役に立ったわけですよね。そういう思い出がありますけど。

ーーFMラジオって池辺さんにとって、どういうものですか?

池辺晋一郎:
FMに親しみ始めたのは学生時代だと思いますけどね、NHKと当時また違う名称の民放が一つしか無かった。で、両方よく聴きましたね。で、あの頃はね、いわゆるもうクラシック音楽の時間数が多かったですよね。で、クラシック音楽による音楽クイズなんかの番組もあったんですよね。面白かったですよ。「ジャン!」って出だしだけやって、次の3つのうち誰の演奏か?とかね。

ーー難しい(笑)。

池辺晋一郎:
指揮者の名前が誰々とかね。そういうクイズですよ。それをハガキで応募する訳です。そういうの学生時代は遊んでやってました。応募してましたよ、当たんなかったけど(笑)。それから、これはNHKも含めて色んな放送局がコンサートを(するので)往復ハガキで申し込んで。それはもちろん放送する為の録音コンサートなんだけど、そこに客を入れる。それは大体往復ハガキで申し込んで、当たれば行ける訳ですよね。それもよく行きましたね。だから、ラジオには本当に実際に耳元で聴くって事だけじゃなくて、そういう色んな自分の行動にも関わってお世話になったと思いますね。

ーー聴きに行くっていう行動もできるっていう。

池辺晋一郎:
うん、そうそう。

ーー今、「N協 ザ・レジェンド」という番組をご担当されてて、クラシックを皆に聞いてもらうっていう事だと思うんですけど、クラシックを皆に聞いてもらうっていうのは、今クラシック番組がなかなか減ってきてる中で、ラジオっていう舞台が大事だったりっていう感じなんでしょうか。

池辺晋一郎:
うん、もちろんラジオが大事だし、クラシック音楽っていうのが、まぁちょっと高邁なものだったりね、敷居が高いと思ってるのが間違いの元だと思ってるんだけども、逆に言うと、どんな、J‐POPも含めて色んなポップスも大元をたどればクラシック音楽なんですよね。クラシック音楽の流れから出てきてる。それが分かれば、クラシックも絶対面白いはずだと思うし。前に僕は、これはラジオじゃなくテレビですけどもクラシック番組をやってた時に、ある人が「分かりやすく説明してくれてて良い」とか言ったんですけど、その時に僕は反発して、それは、その言い方の影には、「本来分かりにくいものを」っていうのが隠れてるって。大体そんな事考えてないんだけど「分かりやすいのは当たり前だ」って言ったんだけども、その考え方は今でも同じだと思う。本来別にどこも分かりにくくない。高尚でもないし、なんでも無いものを普通に喋っていれば皆面白いはずだっていうコンセプトでいるから、ごくごく自然体でやってるつもりです。

ーー敷居が高いっていうのが思い込みなのかも知れないですね。

池辺晋一郎:
そうそうそうそう。

ーー本当はもっと面白いのに。

池辺晋一郎:
それを崩したいっていうのは、本来無いものだったから、崩すものも崩すまでもないんだけど、本来そんなものは無いんだっていう事を、できるだけお知らせしたいとは思っています。

ーー最後に、すごく良いお話いっぱい伺ったと思うんですけど、池辺さんにとってラジオとはナニナニだっていうのを一言コメント頂きたいのですが。

池辺晋一郎:
うーん。ラジオは幼い頃から今に至るまでずっと、一番身近な友達だっていう事ですね。