2020年

2020年1月28日(火)
魔性の花に、魅せられて
育種家・鷲澤幸治

人呼んで「ダリアの神様」。かつては主に仏壇に供えられる地味な存在だったダリアを、イベントや結婚式などハレの日を彩る人気の花へと押し上げた男がいる。これまでにない新品種のダリアを次々と生み出す育種家・鷲澤幸治、72歳。日本で流通するダリアのおよそ7割を生み出し、海外からも注目を集めている。
秋田市の郊外、鷲澤が32年かけて築き上げたダリア園には、全国から生産者や市場関係者が訪れ、人気の出そうな新品種を品定めする。新品種を作るための一般的な方法は、2つの花のおしべとめしべをこすりつける「人工交配」だが、鷲澤はチョウやハチに任せる「虫媒」という方法を用いる。自然にゆだねることで、花業界に衝撃をもたらすような斬新なダリアを世に送り出してきた。「完全なものはない、だからおもしろい」と言う鷲澤。はだしになって土にまみれ、畑の脇に建てた小屋で寝泊まりし、とりつかれたようにダリアの育種にのめり込んできた。
その裏には、壮絶な人生がある。貧しい家に生まれ、養子に出された孤独な日々。義母の葬儀での、ダリアとの出会い。そして、ダリアに没頭するあまり、犠牲にしてしまった家族への思い…。“魔性の花”に人生をささげた男と家族の物語。

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