2019年

2019年5月7日(火)
我流、肉道
精肉店店主・新保吉伸

格付けでは数段劣る牛肉を、最高ランクに勝るとも劣らない味へと昇華させる男がいる。精肉店店主の新保吉伸、57歳。滋賀県草津市にある店には、新保が手がける肉を目当てに全国から客が押し寄せ、星付きレストランを始め、年間300軒以上の店が、その肉を卸して欲しいと取引を願い出る。新保は、肉に“熟成”という魔法をかけることで、その肉が本来持っていた個性を引き出す。18年の研究を重ねて確立させた独自の下処理や、9年かけて育てた菌や微生物を使った熟成。徹底した肉本位の仕事から生まれる味は、「和牛の新境地を開いた」と評される。「名もなき牛こそ、美味しくしたい」と語る新保。だが、30代の彼は、今とは真逆の人生を歩んでいた。どん底で見つけた生きる道、あえて茨の道を選択することで手に入れた精肉店店主の誇りとは…。孤高の匠の技と心に迫る。

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