2019年

2019年4月2日(火)
疾走、あんこ道
菓子職人・小幡寿康

“放浪の菓子職人”と言われる男がいる。小幡寿康(72)、自分の店を持たず、店から店へと渡り歩いては極上のあんこ炊きを伝授し、その技ひとつで30軒以上の菓子店を再建させてきた。名だたる老舗や名菓子店が教えを請うその製法は、まさに型破り。300年以上変わらずにきたあんこ炊きに革新をもたらし、小豆本来の香りを存分に含んだその味は、極上と称される。
実は小幡は、かつてある店で皇室御用達の菓子を任される職人だった。その男が、いわば流しの生き方を選ぶことになった謎。小幡の旅に長期密着する中で、秘められた思いが明かされていく。これまで裏方に徹し、決して表に出ることのなかった男が、旅路の果てに得たものとは…。半世紀、あんこを炊き続けてきた男の技と心に迫る。

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