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これまでの放送

345回 2017年12月25日放送

野球の神様に、愛されるほどに プロ野球スカウト・苑田聡彦



惚(ほ)れたら、惚(ほ)れぬけ

2年連続でセ・リーグを制した広島東洋カープ。この躍進の陰に、名物スカウトの存在がある。スカウト統括部長・苑田聡彦。72歳になった今なお現場で“ダイヤの原石”を探し続ける球界最年長スカウトだ。40年にわたるスカウト人生で、小早川毅彦・江藤智・金本知憲・黒田博樹・丸佳浩など、数多くの名選手の発掘に携わってきた。統括として、部下である8名のスカウトに求める流儀がある。
「選手に惚れる。惚れて、とことん練習に見に行く。ただちょっと1回見て良かったからって報告するなって。本当に、悪いところもちゃんと見て、報告してくれって。」

写真72歳になった今なお現場に通う苑田
写真ドラフト会議に向けて戦略を話し合うスカウト会議


見つけにいかない

実は、12球団のスカウトが目に留める選手に、それほど違いは出ない。ゆえに、ある選手を追いかけて球場に行くと、他球団のスカウトと鉢合わせすることも少なくない。“目利き”としてどう違いを出すか。スカウトに求められるのは、プロの世界で通用するのかを見極める“目”だという。苑田は、試合を見るとき、前評判や数字にとらわれず、選手に眠る「可能性」を広く見出だそうと心がける。
「見つけようと思って見るんじゃないです。じっと、スタンドに座って見ていたら、思わぬところでいいところ出てきますからね。こういうところができる選手やな、とか。そういう感じの見方ですね。」

写真グラウンドから少し離れた場所が定位置
写真1日2試合から3試合、じっと野球を見入る


野球の神様は、おる

親会社を持たない広島カープ一筋に生きてきた苑田には、逆風にさらされた時代がある。
48歳のとき、ドラフトに“逆指名制度”が導入された。大学生と社会人は球団を選べるようになり、資金と人気のある球団に人気選手が集中するようになった。
苑田は、目をつけていた選手に、何度も断られたという。それでも持ち前の負けず嫌いで、選手の発掘に励んだ。当時出会ったのが、のちにカープのエースとなる黒田博樹。当時は東都大学リーグ2部に所属するほぼ無名の投手。苑田は他球団のスカウトより早くから目をつけ、誰よりも熱心に通い続けた。その姿勢に、黒田が応え、カープ入団が決まった。
「真面目に仕事しよったらね、いい選手に巡り合えますよ。神様はいますよ、絶対に。おー、よう仕事しとるから、チャンスを与えてやろうって、ポッとなんか教えてくれそうな。巡り会いがあるような。僕はそういう風に思ってます。」

写真40年、足で選手を探し続けてきた苑田
写真ドラフト会議控室 喜ぶカープスカウトたち


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

この仕事は野球が好きじゃなかったらできんと僕は思いますね。惚れたら足を運ぶと。それぐらいしか、言いようがないですね。

プロ野球スカウト・苑田聡彦