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これまでの放送

第295回 2016年5月23日放送

空の革命児、逆風に立ち向かう ドローンパイロット・請川博一



指先で、見る

請川は操縦技術だけでなく、その映像センスにも多くの撮影関係者から高い評価を得ている。だが安全確実なフライトをモットーとする請川は空撮のとき、常に上空の機体を凝視し、映像が映し出されるモニターにはほとんど目を向けていない。カメラに装着したレンズの性能を把握し、機体と被写体の距離感を見極めれば、撮影されている映像は頭に浮かび上がってくるからだという。そして機体を操る指先に神経を集中させることで自在に機体を操り、イメージどおりの映像を切り取ることができるのだという。30年のキャリアを持ちながらも、時間を惜しまずトレーニングを重ね続けてきたことが、空撮のたくみともいえる境地に請川を達し得させたといえる。

写真上空の機体に集中し、操縦する
写真名ばく・羽衣の滝を空から捉えた


「技術」を信じない

2015年12月に航空法が改正され、ドローンへの規制が厳しくなる中、事故を起こさない安全なフライトに関心が集まる。最新のドローンはGPS機能によって自動的に位置や高さを制御する機能を持つため、従来の無線操縦ヘリコプターなどと比較しても圧倒的な安定感を持ち、初心者でも手軽にフライトを楽しむことができる。だが請川はその便利な最新技術への過信こそがドローン事故の大きな要因だと考えている。遮蔽物や電波の混線などが要因となり、GPSが遮断されると機体の安定性は失われ、操縦難度は急激に上がり、事故につながる危険性も高くなるからだ。そこで請川は自らのトレーニングや、講習会で操縦を教えるときにも、GPS機能に頼らない操縦技術を磨くことを重要としている。

写真GPS機能を解除して行うドローン講習会


究極のワンカット

請川のもとに過去最大の難関となる依頼が届く。時速40キロメートルで走る自動車のタイヤのアップを至近距離から低空飛行で捉え、一気に急上昇して広大な雪原につなげるという「究極のワンカット」の撮影だ。成功率が極めて低い撮影だと思われたが、依頼を引き受けた請川。そこには「革命的な映像を見せてこそ、ドローン撮影の可能性は広がる」という思いが秘められていた。
機体とタイヤの距離を間近で目視するために走る車の中からドローンを操縦しなければならない。無謀とも思える挑戦に請川はいかにして立ち向かい、「究極のワンカット」にたどり着けることができるのか!?

写真走行中のタイヤをドローンで捉える
写真車内からドローンを操縦する請川


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

今の技術に満足することもなくずっとトレーニングしていくこと。やり続けること。これがぼくの考えるプロフェッショナルだと思います。

ドローンパイロット 請川博一