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これまでの放送

放送10周年スペシャル 2015年10月26日放送

岡村隆史×プロフェッショナル



岡村隆史、旅に出る

プロフェッショナルたちを訪ねる旅に出たお笑い芸人・岡村隆史。今回の企画を引き受けたのには、深い理由があった。
「芸人として今後進むべき道や方向性がグラついている。プロフェッショナルたちと話すことで、軸を1本ピシッと入れられれば・・・」
これまでの出演者291名の中から岡村が選んだのは、職種も年齢も異なる3人。それぞれの仕事場を直撃し、ガチ対談に臨んだ。

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左官・挾土(はさど)秀平×岡村隆史

挾土さんのリフレッシュ術は?

―――昔はカラオケ、今は文章を書くことです

みずからを臆病者だという挾土。第一人者となった今でも、大きな仕事に向き合う時は吐き気がするほど緊張するという。そのため、常にストレス解消法を模索している。かつてはカラオケに行き、リセットしていた(2006年放送当時)。だが、この10年で仕事の数が増え、規模も拡大。それに伴いストレスも増えたため、それに対処すべく最近、新たなリフレッシュ術を見いだした。それは、文章を書くこと。挾土は毎晩のようにノートに手記をつづる。その日の出来事をはじめ、読んだ本の印象的な一節、地元・飛騨高山の情景描写など思いのままに書きつける。そして、推こうを重ねて洗練された文章にまで高める。ただ書きつづるのではなく、納得のいく文章にまとめることで、頭の中を整理するのだ。

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お笑い界も1本の道だけでは生き残れないような気がして・・・

―――岡村さんの今のこの感じが、すでに“両輪”なんじゃない?

リフレッシュのために文章を書き始めた挾土だが、年月を重ねるうちに文章力が上達し、今では本を出版するまでになっている。今の自分は、「左官」「執筆」という両輪で進んでいるという。
思いを言語化して文章にすることで、新たな壁のデザインが浮かぶことが多々ある。そして納得のいく壁が出来れば、書く文章の表現も洗練されていく。片方の車輪が大きくなれば、それにつられて、もう片方も自然と大きくなる。その結果、左官として、人間として「成長」を感じている。
一方の岡村は、お笑い以外のもう1つの車輪がまだ見つかっていないと言う。これまで人知れずさまざまなことに挑戦してきたという岡村。もしかしたら音楽の才能があるのかも?ギター、サックスなども試みた。だが、どれも手応えを感じられなかった。「結局、自分にはお笑いしかないのかな・・・」とこぼす岡村に、挾土はこう語りかけた。
「こうして話している岡村さんは、バラエティで見る岡村さんとは別人みたい。今のこの感じが、すでに両輪なんじゃないの?」

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りんご農家・木村秋則×岡村隆史

歯を入れない本当の理由は何ですか?

―――あのころを忘れたくないから。自分への戒めとして。

歯の無い口を大きく開けてカラカラと明るく笑う木村。多くの人から、なぜ歯を入れないの?と聞かれるが、いつも「リンゴに葉があれば、私には歯が無くてもいいのさ」と返す。その冗談の奥に隠された真意とは何か、岡村が切り込んだ。
りんごが実らず収入が無かった時代、歯医者に行く余裕がなかった木村は、自分で虫歯を抜いたという。りんごの栽培に成功した今では、人工歯を入れることも可能だが、木村はあえてしない。“奇跡のりんご”ともてはやされて有名になった今、木村は自分が舞い上がってしまう事を恐れている。そんな自分への戒めとして、歯を入れていないというのだ。
「人間は、時がたてばつらかった事を忘れてしまう。でも私は忘れたくないの。」
天狗になってしまったら終わりだ、と繰り返す木村。それが、人生のどん底を味わった木村の哲学だ。

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2020年のオリンピック、僕も何らかの形で関わってみたいです

―――負けた人の悲しみを“笑い”で癒やしてほしい

木村の目標は、オリンピックで世界中から集まった人たちをおもてなしする食材を作ること。岡村も「何らかの形で世紀の祭典に関わってみたい」と話す。
そんな岡村に、木村から1つの願いが託された。
「岡村さんの仕事は、人を笑わせる、幸せにする仕事だよな。スポーツの世界では、勝者がいれば必ず敗者がいる。一生懸命やってきたのに負けた人の悔しさを“笑い”で和らげてほしい。」

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歌舞伎役者・坂東玉三郎×岡村隆史

「遠くを見ない、明日だけを見る」のはなぜですか?

―――10年後、20年後の事を具体的に決めすぎていると方向転換がきかなくなるでしょ。今日、明日をしっかりやっていけば、必ずたどり着くと思います。

岡村が感銘を受けた玉三郎の流儀は、「遠くを見ない、明日だけを見る」(2008年放送)。明日のことよりも将来の事ばかり気にしてきたという岡村は「僕は間違っていたんでしょうか?」と問いかけた。それに対して玉三郎は「若いうちはそう思って当然。将来が気になるってことは不安だからでしょ。でも今日、明日をしっかりやる、これを重ねていけば必ずたどり着くと思います」と答えた。10年後、20年後の先のことを決めすぎると、方向転換が必要な時に柔軟な対応ができなくなってしまう。目の前を見据え続けることで、玉三郎は人生を切り開いてきた。

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人生は楽しいですか?苦しいですか?

―――生きていくには多少の苦痛が伴います。でも、幸せです。

2008年の放送でも紹介された、玉三郎のストイックな日々。舞台が終わっても打上げなどには行かず、まっすぐ家に帰る。声の調子を保つために電話も控える。そんな生活を50年も続けている玉三郎は、人生を“幸せ”だと表現する。
人が生きていくには、必ず苦しみが伴う。玉三郎も心身ともに追い込まれ、何か月も沈んだ気持ちのまま過ごしたことがあるという。しかし、それでも人生はかけがえのないもの、幸せなものだと言い切る。稀代の女形・玉三郎の揺るぎない人生観だ。

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明日頑張るための言葉を下さい

―――“気楽”にいけばいいんじゃない?

プロフェッショナルたちを訪ね、ガチ対談を繰り広げてきた岡村が旅の集大成にもらった“気楽に”という言葉。決して怠けていいという意味ではない。肩の力を抜きつつ全力で頑張るという、奥深い言葉だ。プロたちに会って感じた事がすべてつながった気がすると語る岡村。プロフェッショナルたちと出会いを胸に、芸人としての日々を歩み続ける。

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プロフェッショナルたちの“生き方”とは、画像をクリックすると動画を見ることができます。

本当ありきたりな言葉でつないでしまう自分がちょっと恥ずかしいんですけど、自分の目標に向かって、まっすぐ努力を惜しまず、常にベストを尽くせる人だと思います。それがなかなか出来ないもんですから、「こんなんでいいわ」「あんなんでいいわ」って妥協してしまう。「しんどい」「寝たい」「ごはん食べたい」ってなるところ、自分はこんだけ努力したって言いたい人たちがいっぱいいるなかで、それ以上の努力をして、それを苦しいとも思わず、ベストを尽くして。それでないとダメやと思います。プロやって言うたらアカンのとちゃうかなと思いますけどね。ほんなら自分がそうかと言うたら、うーんってなるけど。