俳優・渡辺謙には、若い頃から貫き通してきた流儀がある。それは“断崖絶壁であがく”がごとく精一杯仕事に向き合うことだ。渡辺は次のように語る。
「とりあえず安全なところで自分のこう安全でひっかかりやすいところにやっていくというよりかは、精一杯手を伸ばして足を伸ばして、自分の体のどこまでそういうものをひっかけてしかも上まであがっていけるかということをトライしないと、僕はいけないと思うんだよね。まあ言ってみれば崖をよじ登るみたいに。そうやってあがいているのが全てだと思っているので。」
そして今回の挑戦、ブロードウェイミュージカル「王様と私」。歌もナマの英語の舞台も初体験の渡辺にとってそれは、またしてもあがきの連続となった。ギリギリを強いられる現場であがき続けること、その姿勢が渡辺をさらなる高みへと導いてきた。