吉田のチーズは、その入手の困難さから「幻のチーズ」とも呼ばれる。全国の名だたる料理人から注文が絶えない。
もちもちとした食感とジューシーさが特徴のモッツァレラ、焼くとミルクの芳じゅんな味わいが広がるカチョカバロなど、作っているのは8種類だ。
これらのチーズは、吉田が暮らす岡山・吉備高原の山あいで作られている。みずから牛を育て、その搾りたてのミルクだけを使う。増産の求めにも一切応じず、家族で作れる量を守る。牛1頭1頭に気を配り、その品質を落とさないためだ。家族との生活、団らんを守りながら作るチーズこそ最もおいしいと、吉田は信じている。