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第205回 2013年6月17日放送

山谷を支える、医療の真心 内科医・本田徹



その人の生き方に、出来る限りを尽くす

本田は病院の勤務医だが、山谷の患者への往診を何よりも大切にしている。患者の生活空間を直接訪ねることで、その「本当の顔」に出会うことが出来るという。患者の暮らし、家庭的な背景、地域の人々との関係、職歴、趣味、弱さ・・・そうしたことを重層的に把握し、その人の「生き方」を推しはかっていく。そして、その生き方に沿うために、医師として何ができるのかを考える。
「生活背景を知った上で本人の希望をきいて、というところでは余計悩ましくなっちゃうところがあるかもしれないですね。」とは本田の弁。それでも本田は、その人の生き方に出来る限り尽くすことを、医師として大切にしている。

写真病院の中にいるだけではわからない患者の本当の思いが、ここにある


草木国土悉皆成仏

すべての人に等しく医療を施したいと考える本田が今、常に心に置いているのがこの言葉だ。日本の仏教独特の思想とされ、人間や動物はもちろん、一木一草、そして国土にいたるまで成仏できるという考え方のことをいう。本田はこの言葉について、「医療とかケアに携わるものにとって、切実な言葉というか、すごくビビっと来る言葉ですね。」と語る。

写真30年前から山谷での医療に携わってきた本田が大切にする言葉だ。


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

いつも自分はなにか欠損してるっていうか足りていないっていうか、自分がまだできていないことがあって、それをなんとか埋めていかなければいけないという、そういう努力を、いつも自分に課さなければいけない、あるいは課すことが出来る人

内科医 本田徹


プロフェッショナルのこだわり

「医師は、一人の謙虚なプレイヤーでしかない」。本田は口癖のようにそのことを言う。超絶技や専門的な知識で患者を救うのではなく、日々の人々の生活、そして人生に寄り添い、その人らしい生き方を支えるのが本田の仕事。だが地域に出て人々が生活している以上、病院の医師1人に出来ることは限られている。それゆえに本田は、訪問看護師や困窮者支援のNPO、介護ヘルパー、ケアマネージャーらと密に連携をとり、患者が病院にいるときもいないときも支えられる体制を築いてきた。お互いの持つ機能を生かしあうことで、山谷では1つの地域連携医療のモデルができつつある。

写真日頃培った仲間との深い絆で患者の「生き方」を支える