去年10月、新型旅客機の世界初就航に向けたプロジェクトの最前線にいた。
早川が担う任務の一つが、就航までに機体に不具合がないかをチェックすることだ。
早川は就航の1か月前、実際の機体と全く同じシステムを搭載したフライトシミュレーターを用いたチェックを行っていた。その中で、LANと呼ばれる自動操縦システムのわずかなずれを見逃さなかった。
「人の命を預かるのだから、航空界の仕事に携わる人すべてが安全の砦(とりで)だ。その中でもパイロットは最後飛び上がるところの責任者。その砦の、さらに砦でなくてはならない」早川はパイロットとしての自分の役割をそう表現した。