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第138回 2010年3月2日放送

出動せよ 雲上のレスキュー隊 山岳警備隊・山田智敏


救助は「想像力」

山田たちが行う山岳救助は、「山」という自然を相手に挑む仕事だ。肉体を限界まで酷使しながら、いつ起こるかわからない落石、雪崩(なだれ)などの危険に想像を巡らせなければならない。さらにスピードが常に求められるため、必要最小限の装備でのレスキュー活動が求められるが、その中で最善の搬送方法を常に考えなければならない。人の力が頼りだからこそ、「想像力」を働かせ、迅速な判断をすることが山岳警備隊には求められる。

写真いつ落石や雪崩(なだれ)が起こるかわからない現場


山に、謙虚であれ

山田は30歳の時、山のことは素人同然で山岳警備隊に入隊。そこで出会った山小屋の主人など、山で働く男たちの教えを受けながら、成長していく。その中の1人、伝説の山男が言った「山は怖い」という言葉。当初意味がわからなかったが、その後、吹雪や滑落など危険な場面を自ら体験していく中で、山の奥深さに気づいていく。同じ場所でもいつ何が起こるかわからない山の世界。その中で遭難救助に向かう時、おそれの念を抱き、自分の小ささを認めなければ、最善の救助はできないという強い信念が生まれた。

写真常に山小屋関係者と情報交換をする


目の前の一歩に、全力を尽くす

ある日、切り立つ岩壁で男性が頭部に落石を受けるという事故が発生した。一刻も早く病院へ搬送したいが、天気が悪くヘリコプターが出動できない。山田は、即座に10時間以上かかる陸上搬送を始めた。4時間後、待ちわびたヘリコプターが出動したが、天候が急変し、引き返していった。それでも山田はすぐに気持ちを切り替え、陸上搬送を再開。疲労の色が濃くなっていく隊員たちに「ゆっくり、あせるな」と声をかけ、激励した。長期戦に耐えながら、今できることに集中し、全力を尽くすことが、山岳救助の明暗を分ける。

写真「ファイトー!」と声を出す山田


プロフェッショナルとは…

誇りと使命感を持つことが大事です。あと周りの期待と信頼に応えるべく努力することも必要です。重くても重くない、寒くても寒くない、辛くても辛くない、こういった熱くて強い気持ちを持つことがやはり大事だと思います。

山田智敏

The Professional’s Tools

遭難者役の茂木健一郎を救出せよ!

スタジオに、高さ5mの人工壁セットを設置。 「足を骨折し、自力で動くことができないの茂木を救助する」という設定で実演が行われた。

1.岩壁を登る

現場では常に、まわりの安全確認をしながら、行動する。
特に岩場では落石の少ない安全なルートを見極め、安全確保のための支点を作りながら慎重に登る。

写真登はん中


2.容態を確認し、応急処置をする

遭難者の負傷個所をチェック、応急処置をする。その間、できるだけ手に触れるのが山田流。数十分の間、動けず待っていた茂木も「遭難者は待っている間、かなり不安。触ってもらえると安心する」と実感を語った。

写真茂木の手に触れる山田


3.搬送方法を決める

山では、持って行ける装備は限られているため、現場にあるもので搬送方法を考えることも多い。スタジオでは、遭難者が持っていたロープを使い、背負うための道具を作った。

写真おんぶヒモ


4.背負って搬送する

茂木を軽々と背負い、垂直に切り立った壁を降りる。なるべく衝撃を与えないように搬送するために、かなりの体力が必要となる。山田は100キログラムくらいの人も背負えるという。茂木も「最初ちょっと怖いかなと思ったけど、安心感がありました!」と語った。

写真茂木を背負いながら懸垂下降


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