山田たちが行う山岳救助は、「山」という自然を相手に挑む仕事だ。肉体を限界まで酷使しながら、いつ起こるかわからない落石、雪崩(なだれ)などの危険に想像を巡らせなければならない。さらにスピードが常に求められるため、必要最小限の装備でのレスキュー活動が求められるが、その中で最善の搬送方法を常に考えなければならない。人の力が頼りだからこそ、「想像力」を働かせ、迅速な判断をすることが山岳警備隊には求められる。
山田たちが行う山岳救助は、「山」という自然を相手に挑む仕事だ。肉体を限界まで酷使しながら、いつ起こるかわからない落石、雪崩(なだれ)などの危険に想像を巡らせなければならない。さらにスピードが常に求められるため、必要最小限の装備でのレスキュー活動が求められるが、その中で最善の搬送方法を常に考えなければならない。人の力が頼りだからこそ、「想像力」を働かせ、迅速な判断をすることが山岳警備隊には求められる。
いつ落石や雪崩(なだれ)が起こるかわからない現場
山田は30歳の時、山のことは素人同然で山岳警備隊に入隊。そこで出会った山小屋の主人など、山で働く男たちの教えを受けながら、成長していく。その中の1人、伝説の山男が言った「山は怖い」という言葉。当初意味がわからなかったが、その後、吹雪や滑落など危険な場面を自ら体験していく中で、山の奥深さに気づいていく。同じ場所でもいつ何が起こるかわからない山の世界。その中で遭難救助に向かう時、おそれの念を抱き、自分の小ささを認めなければ、最善の救助はできないという強い信念が生まれた。
常に山小屋関係者と情報交換をする
ある日、切り立つ岩壁で男性が頭部に落石を受けるという事故が発生した。一刻も早く病院へ搬送したいが、天気が悪くヘリコプターが出動できない。山田は、即座に10時間以上かかる陸上搬送を始めた。4時間後、待ちわびたヘリコプターが出動したが、天候が急変し、引き返していった。それでも山田はすぐに気持ちを切り替え、陸上搬送を再開。疲労の色が濃くなっていく隊員たちに「ゆっくり、あせるな」と声をかけ、激励した。長期戦に耐えながら、今できることに集中し、全力を尽くすことが、山岳救助の明暗を分ける。
「ファイトー!」と声を出す山田
スタジオに、高さ5mの人工壁セットを設置。 「足を骨折し、自力で動くことができないの茂木を救助する」という設定で実演が行われた。
現場では常に、まわりの安全確認をしながら、行動する。
特に岩場では落石の少ない安全なルートを見極め、安全確保のための支点を作りながら慎重に登る。
登はん中
遭難者の負傷個所をチェック、応急処置をする。その間、できるだけ手に触れるのが山田流。数十分の間、動けず待っていた茂木も「遭難者は待っている間、かなり不安。触ってもらえると安心する」と実感を語った。
茂木の手に触れる山田
山では、持って行ける装備は限られているため、現場にあるもので搬送方法を考えることも多い。スタジオでは、遭難者が持っていたロープを使い、背負うための道具を作った。
おんぶヒモ
茂木を軽々と背負い、垂直に切り立った壁を降りる。なるべく衝撃を与えないように搬送するために、かなりの体力が必要となる。山田は100キログラムくらいの人も背負えるという。茂木も「最初ちょっと怖いかなと思ったけど、安心感がありました!」と語った。
茂木を背負いながら懸垂下降