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第136回 2010年2月9日放送

定時制高校、明日への一歩 高校教師・岡田倫代


心を癒(いや)し、自信を取り戻す場所

岡田が勤める定時制高校。もともとは働く若者に高校教育の機会を与えるために創設された。しかし今、この学校に在籍する73人のうち、定職に就いているのは数人。アルバイトを含めても働いているのは半数程度だ。不登校などの理由で全日制高校に進まなかった生徒や、高校を退学した生徒などさまざまな若者が集まっている。
岡田は英語の授業を担当する。その授業はゆっくりゆっくり進む。45分で、進んでも教科書1ページだ。わからなければ繰り返し教え、さりげなく褒めることも忘れない。そして休み時間や放課後には、職員室で生徒との雑談を楽しむ。普段から生徒がどんなことも話せる雰囲気をつくる。
生徒の中には、「俺なんか・・」「私なんか・・」と自分に自信を持てない生徒も少なくない。岡田はその心を癒し自信を取り戻させてこそ、学習意欲も向上し、新たな道が開けると考えている。

写真岡田の授業はゆっくりゆっくり進む


自分は、役に立っている

岡田は英語教師として教壇に立つだけでなく、教育相談の責任者として日々生徒の悩みに向き合う。
放課後には、「ピアサポート」と呼ばれる課外授業を行っている。若者たちの心のケアに効果があると注目を集める教育プログラムだ。岡田は日本で先進的に取り組んできた一人。ピアとは「同世代の仲間」を意味し、悩んでいる仲間がいた時にどう接しどう支えればよいかを教えていく。仲間を支える技術を学ぶうちに、実際に、支えあいの関係が生まれてくるという。その中で、「自分は誰かの役に立っている」という思いが生徒の中に育まれていく。
岡田がさまざまな心のケアに取り組んだ結果、暴走族に入っていた少年が教師を目指して大学に進学したり、不登校の生徒が自ら希望する就職先を見つけ社会に巣立っていくなど、新たな道を歩き始める生徒も少なくない。

写真ピアサポートと呼ばれる先進的な授業


寄り添い、見守る

岡田のもとには、さまざまな悩みを抱えた生徒が相談にくる。しかし岡田は決してああしろ、こうしろとは言わない。「生徒は右に揺れたり、左に揺れたりする中で大きくなる」という岡田。自分がそっと生徒の横に寄り添い、見守っていれば、次第に生徒は自ら考え、自らの進むべき道を見つけると考えている。

写真日々生徒から電話がかかってくることも多い


プロフェッショナルとは…

「自分の役割」って人にはあると思うのですけれども、真摯(しんし)に課せられた役割を果たしていく人で、そしてそのための努力を決して惜しまない人だと思います。

岡田倫代

The Professional’s Tools

マニキュアをぬった指

岡田は若者たちとフランクな関係を保つために、彼らがふだん見ているテレビ番組をチェックしたり、服装やファッションにも気を使う。指のつめには、きらきらと輝くマニキュアが塗られている。生徒との何気ない会話のきっかけをつくる努力を岡田は欠かさない。

写真ファッションもコミュニケーション手段のひとつ


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