牛田たちスジ屋の大きな仕事はダイヤ改正のために、列車運行表を作ること。中には1日のすべての列車の動きが書き込まれ、600以上の‘スジ’がひかれている。
牛田が表を作る際に最も大切にしているのは、これまでの実績ややり方にとらわれず、駅や客(現場)の変化に常に向き合い、そこから考えること。
牛田は、ここ2年の東西線のダイヤ改正の際、朝ラッシュの時間帯のすべての電車にのり、すべての駅の状況を把握した。現場の実態を克明に記録し、それにあわせて各列車の駅での停車時間を5秒単位で振り分けし直したのだ。
その結果、朝ラッシュの時間帯の慢性的な遅延は半分以下になり、遅れに対する客からの苦情も10分の1に減った。牛田のダイヤはこうした徹底した現場主義から生まれた。