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第79回 2008年2月19日放送

あきらめなければ、失敗ではない 中小企業経営者・片山象三


素人力

繊維機械を販売する会社の社長、片山象三。5年前、織物をつくる作業の大幅なコストダウンを実現する糸作り機械を開発し注目を浴びている。開発は、片山が中心となり、機械メーカーや県の研究施設・地域の繊維業者など20社が協力した。
片山は技術者ではない。それでも開発を成し遂げたのは、「素人力」という強みのためだ。現場の常識を知る専門家には不可能に見えていたことが、素人の素朴な疑問によって解決できることがある。現場に入り込みすぎないことで、恐れ知らずにざん新なアイデアを考えていけるというのが、片山の信念だ。

写真日々、新鮮な目でアイデアを探し続ける


人を結ぶ

新たなアイデアを考えた時、片山は回りの中小企業を巻き込み、実現へと導く。
今、片山が目を付けているのは、地元の織物工場で大量に残る糸。これをもう一度活用できないかと考えた。知り合いのコンピューター関連の会社に声をかけた片山は、ICタグで大量の糸を管理しようと考えた。だが問題は、糸巻きのどこにICタグを取り付けるかだった。そこで片山が訪ねたのは、西脇市の地場産業である釣り針メーカー。釣り針をまっすぐに加工し、ICタグを端に取り付けた上で糸巻きに刺すというアイデアを考えた。釣り針の先についている「返し」が糸にひっかかり、抜けづらいという。
まったく関係のない企業がもつ「宝」を結びつけることで、これまでにない価値を生み出していくのが、片山のやり方だ。

写真独創的なアイデアで周囲の人々を巻き込んでいく


あきらめなければ、失敗ではない

昨年末、片山は新たな挑戦に取り組もうとしていた。5年前に開発した機械を80個並べ、一度に動かすことで大幅なコストダウンを狙う。完成すれば、最大で納期は6分の1、コストは9分の1にもなる。これで、ライバル・中国を追い抜くこともできると考えていた。プロジェクトには、産官学合わせて10の組織が関わる。いかにメンバーをまとめ、完成へとつなげるか。片山の手腕が問われる。
ある日、機械のプログラムを担当するメーカーから、予定の納期に間に合わないという連絡が入った。片山はすぐさま、交渉のために機械メーカーへと向かった。大勢の企業と人々が関わる開発の現場。難題が相次ぐ中、片山はひとつの信念を胸に抱きながら立ち向かう。「あきらめなければ、失敗ではない」。

写真この機械に、地域の誇りをかけるく


プロフェッショナルとは…

自分がやっていること、自分の仕事が人様の役に立っているということが確信できて、誇りと希望の持てると自分で思っている人、そういう方をプロフェッショナルと言うのと違うかなと思いますね。

片山象三

The Professional’s Tools

開発した機械で結んだ糸

5年前、片山が地域の人々とともに作り上げた糸作りの機械では、9種類の糸を任意の長さで結ぶことができる。これが、何千本もある縦糸の取り替え作業の大幅な合理化を可能にした。また、コスト面だけでなく、新しいデザインの生地も作ることができるという、新たな可能性を切り開いた。

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