斬新(ざんしん)なデザインで知られる加茂のヘアデザイン。しかし、ファッションの主役はあくまで服だ。ヘアデザインが目立ちすぎても、地味すぎても、台なしになる。いつも加茂が念頭におくのは「服をショーアップ」すること。服のテーマを探り、それをひきたてるためのヘアデザインを練る。
斬新(ざんしん)なデザインで知られる加茂のヘアデザイン。しかし、ファッションの主役はあくまで服だ。ヘアデザインが目立ちすぎても、地味すぎても、台なしになる。いつも加茂が念頭におくのは「服をショーアップ」すること。服のテーマを探り、それをひきたてるためのヘアデザインを練る。
加茂はいつも、思いついたアイデアを本番ぎりぎりまで試し、最善のデザインを探る。加茂の仕事は、ファッションデザイナーやスタイリストなど誰かのためにデザインを考えることだからだ。
ファッションデザイナー高橋盾(たかはしじゅん)とのパリコレ。そのヘアメイクを決定する打ち合わせの3時間前に、突然加茂は事前に決めたメイクのデザインすべてやめ、新しいアイデアを試し始めた。エアブラシを使った新しいデザインだ。そのアイデアにより、何色ものファンデーションを重ねたグラデーションからなる美しいメイクが生まれた。
加茂が最も力を試される仕事が、ファッションデザイナー渡辺淳弥(わたなべじゅんや)との仕事だ。渡辺はいつもショーのテーマや服について本番直前まで加茂に何も知らせない。自由だからこそ、何にも縛られない新しいデザインが生まれると信じているからだ。加茂は何もヒントがない中でデザインを考え、渡辺に提案していく。しかし、打ち合わせはダメ出しの連続だ。パリコレのショーまでの3週間、加茂はとことんアイデアを突きつめ、斬新なヘアデザインを創造していく。
加茂はいつも、大きなスーツケース2つ分の荷物を持ち歩く。入っているのはドライヤーやヘアブラシ、メイクブラシなど。いずれも使いこんであるものばかりだ。雑誌の撮影などは事前に打ち合わせがないことも多い。いつどんな時でも現場ですぐ対応できるようにと多くの荷物を持ち歩く。