鬼瓦は、飛鳥時代に大陸から伝わり、次第に「建物の守り神」として盛んに作られるようになった。しかし屋根の上で雨風にさらされる鬼瓦は、歳月を経ると、ひび割れ、朽ちる。そのため数百年ごとに、新たなものに作り直される必要がある。
例えば、美濃邉の代表作、清水寺・経堂の鬼瓦(国の重要文化財)は、もともとは江戸時代初期・寛永年間に作られたもの。全部で18の鬼瓦が屋根に上がっていたが、そのうち壊れてしまった1つを、美濃邉が平成に入ってから作り直した。
いにしえの鬼瓦を引き継ぎ、未来へとつなぐ、それが鬼師の仕事だ。