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第50回 2007年5月8日放送

勝負の決断はこうして下せ 経営者・坂本幸雄


会社のすべてを知る

坂本はアメリカの大手半導体メーカーを退社後、赤字企業を次々と再建し、「再生請負人」の異名を取ってきた。現在の会社も、3年連続200億を超える赤字を出していたにも関わらず、わずか1年で黒字化した。なぜ坂本の元では会社がよみがえるのか。それは、刻々と変わる会社の状況を坂本が逐一把握し、その都度適切な手を打つからだ。坂本は毎朝出社すると、まず工場の生産状況を示すデータを頭にたたき込む。それが終われば営業マンたちの立ちミーティングに参加し、現場の生の情報を仕入れる。「社長が社長室にこもって長期戦略ばかり考えているなんてあり得ない。日々の細かな情報が頭に入ってなかったら、長期戦略なんて立てようがない」(坂本)

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答えはその場で出す

「会社のすべてを知る」。その最大の利点は、経営判断のスピードにある。経営者は常に決断を迫られる存在だが、坂本が決断を棚上げすることはめったにない。必要な情報は、すでに頭の中にあるからだ。「トップが迷っていつまでも決断しないことが、最大の罪」と坂本は考える。その経営哲学は、坂本の異色の経歴と無縁ではない。体育大学を卒業し、就職したアメリカの半導体メーカーでは、工場の倉庫係からたたき上げた。経営判断の遅れが、どれほど現場に迷惑をかけるか。坂本は体に刻み込んでいる。

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一人で背負う

坂本は時に、数千億円の金が動く大きな決断を迫られる。一歩間違えれば、会社が傾きかねない。だが猛烈な重圧がかかる時こそ、坂本はすべてを一人で背負うことにこだわる。「たとえワンマンと言われようと、大きな投資はトップが一人で決めなければならない。大勢の意見を聞いていたら、リスクをとることができず、中庸な経営判断に終始してしまう。半導体業界では、そういう会社は生き残れない」(坂本)

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プロフェッショナルとは…

やっぱり仕事をこうやってて、で、その仕事がきちんとできるだけじゃなくて、プラスアルファのことを考えられると。自分流の何かを乗っけて、その仕事を完成させていくということができる人がプロフェッショナルなんじゃないでしょうか。

坂本幸雄

The Professional’s Tools

ノート

坂本は道具にこだわらない男だ。かばんの中には、急な出張に備えて簡単な洗面用具と、わずかな資料が入っているだけ。唯一道具と呼べるのは、一冊のノート。常に持ち歩き、頭に浮かんだ経営のアイデアなどを書き留める。中には、数百億の利益を生む極秘の経営戦略もある。だが、他人がノートを盗み見ても、意味を読み取る事は極めて難しい。坂本だけが理解できるなぐり書きの記号や数字が並ぶだけだからだ。

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