坂本はアメリカの大手半導体メーカーを退社後、赤字企業を次々と再建し、「再生請負人」の異名を取ってきた。現在の会社も、3年連続200億を超える赤字を出していたにも関わらず、わずか1年で黒字化した。なぜ坂本の元では会社がよみがえるのか。それは、刻々と変わる会社の状況を坂本が逐一把握し、その都度適切な手を打つからだ。坂本は毎朝出社すると、まず工場の生産状況を示すデータを頭にたたき込む。それが終われば営業マンたちの立ちミーティングに参加し、現場の生の情報を仕入れる。「社長が社長室にこもって長期戦略ばかり考えているなんてあり得ない。日々の細かな情報が頭に入ってなかったら、長期戦略なんて立てようがない」(坂本)