独創的であると同時に、社会に受け入れられる建築を作るため、隈はある流儀を貫き通している。それが“負ける”建築。
“負ける”建築とは、自己主張するのではなく、周囲の環境に溶け込むような建物を建てること。さらには、予算や敷地などの「制約」を逆手にとって独創的な建物を生み出すことを指す。
例えば、栃木の山あいの美術館では、周囲の風景と調和させるため、地元の間伐材の格子を多用。そこから、裏の里山と溶けあった、美しい建築を生み出した。
また、石材会社から依頼された美術館では、予算に制約があった。そこで石材会社自らが手仕事で作る建物を考案。石を積み上げて建てる個性的な建築を作り上げた。