人を楽しませる達人
2006年4月13日 ディレクター:カワ坊

ロケ用の音声機材を、お酌をするための宴会機材に見立てたこのイラスト。
実はこれ、撮影スタッフの一人の音声担当のために中村さんが書いてくれたものです。 しかも描いてあるのはホテルの部屋にあるメモ用紙。
今日は、このイラストにまつわるエピソードを紹介します。

建築家・中村好文さんは、「先生」という言葉からはほど遠い人です。 温かな人柄、こまやかな心配り、そして何よりも、人を楽しませることが好き、いたずら好き、それが私の中村さんの印象です。

申し遅れました。私、中村さんの回を担当しましたディレクターの河瀬と申します。班内では「カワ坊」と呼ばれています。30代も後半にさしかかり、「カワ坊」って年でもないのですが、まあそれはさておき・・・。
プレゼンの際、模型にリボンをかけたり、子どものために色鉛筆で手書きの図面を用意したりと、番組の中でも人を楽しませる中村さんの遊び心をいくつか紹介しましたが、私たち、撮影スタッフとのつきあい方も中村流だったのでした。

中村さんは、ずーっとロケの最中、音声担当が音を録るために長ーい棒を持っている姿をおもしろい格好だなぁと思っていたのだと思います。移動中、中村さんは、音声担当に、「その音声セットを宴会用お酌セットにしたら面白いよねぇ」なんて言ってました。
その時は、それで終わったのですが、ある朝、待ち合わせの場所に現れた中村さんは、おもむろに、このイラストを手渡したのです。
聞けば、朝早く起きて、ホテルで書いたといいます。
イラストを手渡すときの、中村さんのうれしそうな無邪気な顔。子どものような笑顔でした。

そんなことを通じて、中村さんとスタッフの間に、親密な空気が生み出されていきました。

結局、どんな仕事でも「人を喜ばせる」ということに尽きると思うのです。
中村さんは、それを自然にやってのける。家を作るときも同じ。
ここに窓があったら毎日、楽しいだろうなぁ、とか、家族がそろって本が読めたら温かな気持ちになれるだろうなぁ、とか。

そんな中村さんのあったかい人柄を少しでも番組から感じていただければ幸いです。
「カワ坊」でした。今後ともどうぞよろしくお願いします。

写真