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これまでの放送

第9回 2006年3月14日放送

“なにくそ!”負けたらあかん 英語講師・竹岡広信


「遠回りこそ近道」

 竹岡の英語の教え方の基本は、英語の世界を映像でイメージさせること。springは、「バンっと飛び出すイメージ」。universeは「一つの周りをクルクル回っているイメージ」。一つの単語を教えるのに30分以上かけることも珍しくない。時間をかけるため、それほど多くの単語を教えることはできないが(教える単語は3年間で1000。一般の受験単語集の半分から3分の1)、この教え方がしっかりと正しく記憶できる方法だと考えている。「何ごとも遠回りこそが近道なんだ」。竹岡は塾生に繰り返し言いきかす。

写真単語の説明は絵や大きなジェスチャーで映像をイメージさせる


「きっかけをつかめば自ら伸びる」

 教師の役割は「生徒が伸びる“きっかけ”を与えるだけ」と竹岡は言い切る。生徒が力をつけたとき、「俺が教えてやったから」と思うのは教師のごう慢であり、生徒自身が努力した結果だと考えるべきだと言う。きっかけさえつかめば、生徒は自らの力でどんどんと伸びていくという。教師は生徒がきっかけをつかむまで、手を変え品を変えしながら、辛抱強く待たなければいけない。

写真生徒の質問には家に飛んでかえってでも最もいい資料を提示し答える


「好きだから身につく」

 今でこそ人気漫画の登場人物のモデルにまでなった竹岡。しかし、駆け出しの20代のころは、詰め込み詰め込みで英語を教え、生徒の成績が伸びず、失敗を繰り返した。何がいけないのか、悩み悩んだ末、たどりついたのは、「好きだからこそ身につく」ということ。そこに気づいてから、竹岡の教え方はガラリと変わった。新聞や歌の歌詞を教材に取り入れ「生きた英語」で生徒の興味を引き、英語を「好きになる」きっかけを与える授業へ・・・。
 塾生達の表情が変わり、質問がどんどん飛び出すようになった。そして、生徒達の成績も徐々に上がり始めた。

写真新聞や歌の歌詞を使って生徒が英語を好きになるきっかけを作る


「“学ぶ”とは、“教える”とは」

 「なぜこんなに勉強をしなければならないの?」。こう塾生から訊(き)かれたとき、竹岡の答えは「修行だから」。細かい知識は、10年後には恐らく消えてなくなる。しかし、一生懸命何かに打ち込んだという記憶は、必ずいつか自分を励ます力となる。その一つの手段として「受験勉強」があると言う。「“なにくそ!”と思って、ギリギリまで頑張り抜け」。竹岡は塾生に語る。
 一方、教えるのに最も大切なこと。それは、「ごまかさないこと」「辛抱すること」の二つだと竹岡はいう。ごまかさないで、正直に、そして正面から生徒に向き合う。そして、何回失敗しても、辛抱強く生徒が伸びるきっかけをつかむのを待つ。
 「ごまかさない」「辛抱する」。この二つを支える教師の根底「愛情」につきる。

写真学ぶとは「修行」、教えるとは「辛抱」


プロフェッショナルとは…

失敗に失敗を重ねても、それを絶対忘れないで、次につなげていく人だと思います。

竹岡広信

The Professional’s Tools

スタジオでの黒板授業

竹岡の単語の教え方は、語源などからイメージできることを絵やジェスチャーで説明し、映像を一緒に記憶に刻み込ませる、というもの。同時に同じ語源を持つ単語をも教えていく。こうすることで、正しく覚えることができると考えている。

写真“professional”の意味をスタジオで説明。「“professional”とは前へ向かってバーンと発言するというイメージ」。