スマートフォン版へ

メニューを飛ばして本文へ移動する

これまでの放送

第7回 2006年2月28日放送

鳥インフルエンザを封じ込めろ WHO 医師・進藤奈邦子


「鳥インフルエンザの恐怖」

 進藤の仕事は、いま全世界を不安に陥れている鳥インフルエンザの感染爆発・パンデミックを食い止めること。これまで確認された鳥インフルエンザは、鳥から鳥、そして鳥から人への感染だが、この先、ウイルスが変異して人から人へ感染しやすくなると恐れられている。「小さいうちに握りつぶしてしまうこと。とにかく広がらないように抑えること。それが今、一番大事」。ウイルスを封じ込めるには、早い段階で、患者を隔離し、病院から外に感染が広がらないようにすることが重要なため、医師である進藤は、感染症の集団発生が起こると、現地に駆けつけ病院内でのウイルスの封じこめに奔走する。

写真防護服を着てウイルスと立ち向かう進藤


「一人の母として」

 進藤は、11才と8才になる2人の子供の母親でもある。「大変なこともたくさんあるし、格好いいことばかりではない。子供たちには、ありのままの姿を見せるようにしている」。進藤は、働く女性として、仕事と結婚、出産という選択をどうするか、悩みながら進んできた結果、今の仕事にたどり着いた。
 感染症の現場は、自らの命を危険にさらしてでも向かわなくてはならない。進藤は、子供たちに万一の時のこともつつみ隠さず話して聞かす。母として、医師としての思いが子供たちに伝わるように。

写真二人の子供の母親でもある進藤。仕事と家庭を両立させている


「医師としての原点」

 これまで、医師としての壁にぶつかるたびに進藤の支えとなってきたのは、ある「約束」。それは、高校2年の秋、悪性の脳腫瘍(しゅよう)を患っていた弟に言われた。「医師になり、僕と同じように苦しんでいる人たちに、僕の代わりに明日があるよって言って欲しい」と。それが最期の言葉となった。今も、現場で仕事をしている時、自分の仕事のやり方に対して疑問を持つと、必ずこの言葉を思い出し、原点に立ち返る。

写真弟の最期の言葉が、進藤を医師の道に進ませた。今も医師・進藤の原点


「情熱が人を動かす」

 2006年1月5日。トルコで、過去最大の鳥インフルエンザが集団発生。ウイルスが、人から人に感染する新型に変異した可能性があった。進藤は、それを見極め、感染の拡大を抑えるために、チームでトルコの現地に駆けつける。しかし、現地の病院の医師たちは、患者の情報を進藤にすぐに教えなかった。言葉の違い、文化の違いから起きる現実である。しかし進藤は、犠牲者を一人でも減らすために、あきらめずに訴え続けた。やがて、進藤の情熱が現地の医師たちの心を突き動かす。

写真トルコの病院の医師たちに協力をして欲しいと訴える進藤


プロフェッショナルとは…

やっぱり情熱じゃないかな。プロフェッショナルとは技と情熱。託されたミッション、任務をきっちり遂行するためには必要なこと。漠然と仕事をしてはいけない。

進藤奈那子

The Professional’s Tools

防護服

進藤の仕事の現場は、自らも感染の危険にさらされる最前線。道具が、進藤の命を守る。着けるのは、ゴーグルやマスクに防護服。患者の体液や血液に触れれば自らも感染する危険があるため、ぬかりなく準備し、装着にも細心の注意を払う。

写真


蚊取り線香

アフリカなどへの出張に行くとき、進藤が必ず持って行くものに、日本の蚊取り線香がある。マラリアなどの感染から自分を守るための必需品。

写真