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長寿命で低コストなリン光有機ELデバイスを実現
〜フレキシブルディスプレイの実用化に向けて〜
(平成26年9月11日)


□ NHKは、超薄型・軽量で持ち運びに便利なフレキシブルディスプレイを実現するため、リン光材料を使った高効率な有機EL*1)デバイスの研究開発を進めています。今回、デバイスの長寿命化と低コスト化を実現する技術開発に成功しました。

□ 有機ELデバイスの中で光を発する発光層は、ホスト材料とその中に分布する発光材料で構成され、ホスト材料は電気エネルギーを発光材料に受け渡す役割を担います。一般的に、発光材料にはイリジウム等の希少金属を含む有機金属化合物が用いられていますが、希少金属を含むため材料費が高く、デバイスの低コスト化が大きな課題でした。

□ 今回、電気エネルギーを受け渡しやすいホスト材料を新たに用いることで、極めて少ない量の発光材料で長寿命な緑色のリン光有機ELデバイスを実現しました。従来のホスト材料で寿命を長くするためには、発光材料量を6%以上にする必要がありましたが、新しいホスト材料では、発光材料量1%でも従来の7倍程度の寿命が得られ、発光材料を大幅に低減できることからデバイスの低コスト化が期待できます。

□ 今回の研究成果は、第75回応用物理学会学術講演会(9月17−20日)で報告する予定です。今後は、赤色および青色発光のリン光有機ELデバイスについても同様の検討を進め、高効率・長寿命なフレキシブルディスプレイの早期実用化を目指します。

*1) 有機エレクトロルミネッセンスの略。ある種の有機化合物を用いた層状の構造体に電流を流すと発光する現象。デバイス内に注入された正孔と電子が発光層のホスト材料中で再結合し、発光材料がその電気エネルギーを受け取り発光する。

※本研究の一部は、総務省の委託研究「究極の省電力ディスプレイ実現に向けた高効率・長寿命有機ELデバイスの研究開発」として実施したものです。


 
 
 
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