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実用的な小型SHVプロジェクターを開発!
〜 2020年、SHV試験放送の実現に向けて 〜

(平成23年1月13日)


□ NHKは臨場感あふれる次世代のテレビジョン放送サービス「スーパーハイビジョン(SHV)」*1)の実用化に向け、「スーパーハイビジョン機器 研究・開発ロードマップ」を定めて、カメラを始め、コーデック、伝送装置、記録装置、音響システム、ディスプレイなどの研究開発を進めています。今回、NHK、NHKエンジニアリングサービス、JVC・ケンウッド・ホールディングス(株)が共同で、今までよりも低コストでコンパクトな実用的SHVプロジェクターを開発しました。

□ 従来のSHV用プロジェクターには2種類の方式があります。一つは、4Kデジタル・シネマ用に開発された800万画素の表示素子を用いてSHVの3300万画素相当の解像度を得る「デュアルグリーン方式」*2)です。もう一つは、3300万画素の表示素子をR、G、B各1枚の計3枚用いて表示する方式です。デュアルグリーン方式は、既存の800万画素の素子を用いるため後者よりも安価に実現することができますが、プロジェクター2台で構成するなど装置が大きいという問題点がありました。また後者は高画質ですが、3300万画素の表示素子の製作には、高精度な技術が必要であり、低コスト化の実現がむずかしいという課題が残されています。

□ 今回、新しく開発したプロジェクターでは、800万画素の表示素子をR、G、B各1枚の計3枚を使っています。すでに発売されている4Kプロジェクターに新開発の「e-Shift」デバイス*3)を用いてR、G、Bの3原色すべてにおいて画素ずらしを行う機能を追加し、SHVをフル解像度画質相当で表示できます。このため、低コストでコンパクトなプロジェクターを実現することができました。

□ 今後もNHKは、2020年にSHVの試験放送を実現するため、ロードマップに沿って、より実用的なSHV機器の研究開発を進めていきます。
※1) 3300万画素(ハイビジョンの16倍)の映像と22.2chのマルチチャンネル音響システムにより、あたかもその場にいるような高い臨場感を表現できる。
※2) 光の3原色の中で視覚の解像度に最も寄与しているG(緑色)信号に2枚の表示素子を用いて、両者を斜め(縦・横)方向に半画素ずらして配置し、実質的に縦横方向に2倍の解像度を得ることができる。他のR(赤色)とB(青色)には、1枚の表示素子を用いる。
※3)
複屈折特性を持ち、直進する光と縦・横0.5画素分屈折する光に、切り替えることができるデバイス。



1) 画像シフト切り替え電気信号で、e-Shiftデバイスの屈折率を変化
2) 光源(D−ILA表示素子*など)からの光が、屈折率の変化で進む道が変化
3) 進む道が変わることにより、1画素が斜め(縦・横)にシフト
4) 屈折率を断続的に切り替えて、一つの光源で2つの画素を表示
5) 画素のシフトにより、縦・横方向の解像度が実質的に2倍に
※)反射型液晶素子:Direct drive Image Light Amplifier



 
 
 
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