技術情報 NHK information
Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます。
◆エコ推進! ラジオ第2放送、CO2大幅削減!
〜菖蒲久喜ラジオ放送所、CO2排出量1,000トン削減を計画〜
(平成21年6月2日)


○ NHKは、新中期経営計画の中で、環境経営に関する方針を掲げ、積極的にエコを推進しています。この度、菖蒲久喜ラジオ放送所のラジオ大電力放送設備をラジオ第1放送(R1)に続きラジオ第2放送(R2)でも、より省エネ型の放送設備に一新しました。放送所が排出する温室効果ガス(CO2)を年間1,000トン削減する計画*1)を立てています。

○ 菖蒲久喜ラジオ放送所から放送しているR2は500kWと日本最大級の送信電力で放送し、関東・甲信越を中心に、北方向は宮城県の一部から、西方向は愛知県の一部まで、全国総世帯の4割に相当する約2,000万世帯に電波をお届けしています。

○ 従来、菖蒲久喜ラジオ放送所のR2の放送設備は真空管を使用した大電力型の設備でしたが、今回、デジタル処理型変調方式を採用した省エネ型の全半導体化送信機に設備を一新しました。デジタル処理型送信機では、半導体素子(MOS-FET*2))を用いた電力増幅器のみで送信機を構成することで、大電力変調部が不要となるため、従来の真空管式の送信機に比べて電力効率を大幅に向上させることができます。従来、約60%だった送信機の電力効率を約85%まで向上させることに成功し、大幅なCO2削減に貢献することができます。

○ NHKは現在、真空管を使用した大電力ラジオ放送所の放送設備更新を順次進めており、今後、大阪R2(300kW)と福岡R2(50kW)の2局を省エネ型に一新し、環境経営に努めていきます。

*1 平成20年12月に設備を一新後、平成21年3月までに消費した電力量を年間消費電力量に換算し、平成18年度と19年度の平均値と比較して算出。
*2 金属酸化膜形の電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)。スイッチング増幅用に用いられる半導体素子。入力信号による応答(スイッチング速度)が速く、スイッチングによる電力損失も少ない。

(参考)
図1 菖蒲久喜ラジオ放送所 全景
写真の左側がR2、右側がR1



図2 ラジオ送信機

 500kW送信機では、2台の250kW送信機(写真は250kWの送信機)を合成して放送しています。また、250kW送信機は、248台の電力増幅器で構成しており、この248台の電力増幅器の動作台数を音声信号に応じて制御(デジタル処理型変調方式)することでラジオ放送の電波を送り出しています。



図3 デジタル処理型変調方式の概要図

 500kW送信機は、2式の250kW送信機を並列合成しています。250kW送信機では125kWの送信部を2台合成しています(図は125kW送信部の構成)。出力電力の等しい電力増幅器(PA:Power Amplifier)を119台、出力電力を重み付けした電力増幅器を5台使用し直列に電力を加算することを特徴としています。音声信号は出力電力を決めている直流成分と加算され、アナログ/デジタル変換(A/D変換)された後、ビット情報に基づき直列加算するPA台数を制御しています。これらの処理の結果、帯域フィルタ(BPF)の出力にはラジオ放送である振幅変調波が得られます。





 
 
ページトップにもどる
経営情報へ戻る前に戻る