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◆デジタルテレビ極微小電力局用
小型・低価格の屋外型中継局送信機を開発
(平成20年4月11日)

○ NHKは(株)NHKアイテックと共同で、地上デジタル放送の極微小電力局に適用する屋外設置が可能な中継局送信機を開発しました。機器の大幅な小型化と工事の効率化を実現し、比較的小エリアをサービス対象とする極微小電力局のデジタル整備の低廉化が期待されます。

○ 極微小電力局は、数百世帯以下の小エリアをカバーする1波当たりの送信電力が0.05W以下のデジタル中継局です。地上アナログ放送の小エリア向け中継局(ミニサテ)では、送信機を格納したボックスをアンテナ鉄柱に据付ける整備方式を多く採用していますが、これまでのデジタル中継局送信機は機器用ラックに設置する屋内型しかありませんでした。

○ 開発した送信機は、最大8波の信号を規定送信電力まで増幅するMCPA(Multi-Channel Power Amplifier)を採用しています。また、送受信回路の簡素化、ボックス構造化、効率的な放熱設計により大幅な小型化と温度 変化の激しい屋外への設置を実現しました。

○ 本装置の採用により、新たな局舎設備を建設することなく、鉄柱などにボックスを取り付けてボックス間を配線するのみでデジタル化が可能となるため、工事の簡略化、工事期間の短縮化を図ることができます。

○ 専用の小型補償回路の開発により、周波数特性を補償する機能やデジタル放送のSFN※1で発生する回り込みをキャンセルする機能の搭載も可能なほか、分離受信※2や非常用電源にも対応できるシステムとしています。

○ NHKは、今後も地上デジタル放送の全国展開に向けた効率的な中継局ネットワーク構築に向け、中継局送信機をはじめとした放送機器の研究・開発に取り組んでいきます。

*1 Single Frequency Networkの略。単一周波数を使用した放送中継網
*2 地形や電波混信などの影響を軽減するため、受信アンテナと送信アンテナを離れた場所に設置する中継局の整備方法



図1 デジタル極微小電力中継局送信機 外観

表1 デジタル送信機 仕様
項目 諸元
入力 UHFテレビチャンネル
出力 UHFテレビチャンネル
0.01W/ch×8波 又は 0.05W/ch×8波
出力変動 定格出力の±50%以下
周波数偏差 ±10kHz
スペクトラムマスク 40dBマスク
位相雑音 −40dBc以下
IM −40dB以下
分離受信方式 有給電光伝送方式
設置条件 屋外設置
使用条件 性能保証 周囲温度-10〜+45℃、湿度45〜90%
動作保証 周囲温度-20〜-10℃、+45〜60℃

 
 
 
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