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◆地上デジタル放送受信のための共同受信施設用増幅器を開発
〜アナログ・デジタルのサイマル伝送をローコストで実現〜
(平成20年4月11
日)

○ NHKは宮崎電線工業株式会社と共同で、地上デジタル放送を既設の小規模テレビ共同受信施設に導入するための線路増幅器を開発し6月19〜21日に東京ビッグサイトで開催される「ケーブルテレビショー2008」に展示します※1

○ 既設の小規模テレビ共同受信設備では、VHF帯(90〜222MHz)しか伝送できない帯域幅の狭い施設が多くあります。このためUHF帯(470〜770MHz)で放送される地上デジタル放送を再送信するには、設備をUHF帯対応へ改修するか、地上デジタル放送の信号をMID帯※2など低い周波数に変換する必要がありました。

○ 今回開発した線路増幅器は770MHzまでの周波数の信号を補償するため、従来の増幅器と交換するだけで地上デジタル放送を周波数変換せずに再送信できます。これにより同軸ケーブルや各戸への分岐分配器など既存の施設を最大限に活用することが可能となり、山間部や都市部の数十世帯の小規模な共同受信設備へのデジタル導入の低廉化が期待できます。

○ これまでの770MHz線路増幅器は外気温の変化による信号レベルの変動を補うため、基準となるパイロット信号を重畳して利得制御を行う方式を採用しています。一方、今回開発した線路増幅器は独自開発のサーマルAGC※3回路の採用によりパイロット信号を用いることなく、利得制御が可能です。このため機器の低廉化が実現でき、外気温が-20〜40℃の変動に対しても加入者宅への伝送レベルを安定に保つことができます。

○ NHKは今後、開発した線路増幅器の実証実験を行い、アナログ放送波とデジタル放送波の同時伝送をした場合の伝送特性などのデータ収集を進め、実用化に結びつけてゆく予定です。
(特許出願中)

※1 宮崎電線工業(株)のブースで展示します。
※2 VHFの3チャンネルと4チャンネルの間にある周波数帯(108〜170MHz)
※3 AGC(Auto Gain Control):信号レベルを一定レベルに保つため、増幅器を自動制御する方式

本器の諸元
  幹線増幅器(TA)部 分岐増幅器(BA)部
伝送周波数帯域 [MHz] 70〜770 70〜770
標準利得
(90/ 220/ 770MHz)
[dB] 14/23/47 27.5/33/48
標準入力レベル
(90/ 220/ 770MHz)
[dBuV] 69/69/56 69/69/56
標準出力レベル
(90/ 220/ 770MHz)
[dBuV] 83/92/103 96.5/102/107
外気温変動対応範囲 [℃] -20〜40 -20〜40
外気温利得変動 [dB] ±2.0 以内 ±2.0 以内
入出力コネクタ   FT型
電源電圧(50/60Hz) [V] AC20〜30またはAC40〜60
消費電力 [VA] 22以下 TBA 35以下
外形サイズ(H×W×D) [mm] 199×316×135
重量 [kg] 5.5以下 TBA 5.5以下


 
 
 
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