◆月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)による
世界初の月面撮影の成功について
(平成19年11月7日)
日本放送協会
宇宙航空研究開発機構
日本放送協会(NHK)および宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成19年10月18日(日本時間、以下同様)に高度約100kmの月周回観測軌道に投入した月周回衛星「かぐや(SELENE)」から、世界初のハイビジョンによる月面撮影に成功しました。
撮影は「かぐや(SELENE)」に搭載されたNHK開発の宇宙仕様のハイビジョンカメラ(HDTV)によって行われたもので、上空約100kmからの月面のハイビジョン撮影は世界で初めてのことです。
撮影は10月31日に2回に分けて行われ、第1回目は「嵐の大洋」よりも北の位置から北極中心に向かって、第2回目は「嵐の大洋」の西側を南から北へ、それぞれ8分間を1分に縮めて収録しています。「かぐや(SELENE)」で撮影した動画映像をJAXA臼田宇宙空間観測所にて受信し、その後、NHKにおいてデータ処理を行いました。
なお、臼田宇宙空間観測所で受信したテレメトリデータ*により、衛星の状態は正常であることを確認しています。
※衛星の状態や搭載機器の動作状況などを把握するために、衛星から地上へ向けて送信される情報
「かぐや(SELENE)」からハイビジョンカメラ(HDTV)により撮影された月面
写真(1) 北極付近 (第1回目撮影の動画より切り出し)
「嵐の大洋」(注1)よりも北の位置から北極中心に向かって「かぐや(SELENE)」が飛行中に撮影したものです。
北極に近く緯度が高いため、太陽光線の射し込む角度が低くなり、クレータ地形の影が長く映っています。
この動画は、平成19年10月31日4時7分(日本時間)に「かぐや(SELENE)」から8倍の間欠撮影(8分間を1分に縮めて収録)で撮影され、同日、JAXA臼田宇宙空間観測所にて受信しました。
(注1)「嵐の大洋」:月の表面の暗く見える「海」と呼ばれる部分で、地球から見える月の表側の北半球左端に位置します。
写真(2) 「嵐の大洋」の西側 (第2回目撮影の動画より切り出し)
「嵐の大洋」の西側を南から北へ「かぐや(SELENE)」が飛行中に撮影したものです。
画面右側の暗い部分が「海」(「嵐の大洋」)、左側の明るい部分が「高地」と呼ばれている部分です。
この動画は、平成19年10月31日5時51分(日本時間)に「かぐや(SELENE)」から8倍の間欠撮影(8分間を1分に縮めて収録)で撮影され、同日、JAXA臼田宇宙空間観測所にて受信しました。
写真(3) 「嵐の大洋」の西側 (第2回目撮影の動画より切り出し)
(2)の動画の終わりの部分を静止画として切り出したものです。
画面中央手前に「レプソルト」と呼ばれる直径約107kmのクレータが見えます。このクレータを横切る溝は「レプソルト渓谷」と呼ばれ、長さ約180km(東海道本線の東京−静岡間に相当)にも及びます。
この動画の撮影時間等は(2)と同様です。
写真(4) ハイビジョンカメラ(HDTV)の外観 (「かぐや(SELENE)」搭載前)
参考:各画像の撮影方向(PDF
640KB)
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