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◆多視点映像システム「ぐるっとビジョン」を開発
〜 スポーツ中継をダイナミックに表現 〜
(平成19年5月16日)


○ NHKは、複数のハイビジョンカメラを切替え表示することにより、立体感のあるダイナミックな映像を短時間に生成するシステム「ぐるっとビジョン」を開発しました。全日本体操選手権(2006年11月)、全日本相撲選手権(2006年12月)の番組中継で利用し、さまざまなアングルから被写体を 捉えた迫力あるハイビジョン映像をご家庭にお届けしました。

○ 複数のカメラ映像を合成して表示するシステムは、これまでも開発されており、映画制作や一部の放送番組で使われています。しかし、生放送で利用するには、中継現場への映像システムの設置や、撮影からオンエアまでの映像処理に要する時間などに課題があり、特に情報量の多いハイビジョン制作への対応は困難でした。

○ 今回開発したシステムは12台のハイビジョンカメラとPCで構成されています。被写体の周りに設置した複数のカメラの映像を、その並びに沿って順次切替えますが、仮想的に全てのカメラが被写体上の一点を向くような映像処理を施すことにより、カメラが回り込むような滑らかな映像生成を実現しました(図 参照)。PCに搭載されているGPU(グラフィックプロセッサユニット)の計算機能をフルに活用し、映像処理の高速化を図っています。

○ 複数のカメラ映像を利用することにより、映像の中の動いている部分のみを安定的に抽出することが可能です。この機能を活用し、連続する複数フレームにおける動き部分の抽出結果を各々のカメラ映像に合成し、映像を切り替えることで、人やボールの動きを3次元的な軌跡として、さまざまなアングルから見ることができます。

○ このシステムを用いると、映像に立体感とダイナミックさが生まれ、特にスポーツ番組で効果を発揮します。処理時間が短く、即時性が要求される生中継番組にも対応できます。

○ このシステムは、平成19年5月24日から27日に開催する放送技術研究所の一般公開で展示します。また、6月のNHK杯体操の番組で使用 する予定です。今後は、処理速度の向上など、より実用的なシステムの開発を進めて行きます。



図1 「ぐるっとビジョン」のシステム概要と映像表示例



図2 カメラ設置の風景(全日本体操選手権中継)

 
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