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◆小型で超高感度な標準テレビ用冷陰極HARP撮像板を開発
〜照明なしに鮮明に撮影できる小型カメラの実用化に目処〜
(平成18年9月25日)


○ NHKは、双葉電子工業(株)、パイオニア(株)、浜松ホトニクス(株)と共同で、標準テレビの解像度を持つ小型で超高感度な撮像デバイス「冷陰極HARP*1撮像板」の開発に成功しました。これにより、夜間に発生した地震などの災害や事件、事故の緊急報道に威力を発揮する超高感度カメラの小型・実用化に見通しを得ることができました。

○ 冷陰極HARP撮像板は、電圧を加えるだけで電子を放出する冷陰極を平面上に多数並べた冷陰極アレーと、入射した光を電荷に変換し、この電荷を同じ膜内で増倍する超高感度なHARP膜とを向かい合わせた構造の小型撮像デバイスです。

○ 撮像板ではこれまで、(1)画素数を増すと冷陰極アレーをより高速に駆動しなければならない、(2)アレーの画素を小さくすると放出される電子の量が減少する、という問題があり、画素の高集積化による高解像化が困難でした。今回、撮像用として実績のあるスピント型*2およびHEED型*3の2種類の冷陰極アレーについて性能向上を図り、標準テレビの解像度を持つ実用性の高い撮像板を開発しました。

○ 大きな放射電流を得ることのできるスピント型では、アレーの高速駆動が可能なアクティブ駆動回路*4を内蔵することで、高解像度化を図りました。アクティブ駆動回路との一体化に実績のあるHEED型では、主に冷陰極構造の最適化を図ることで放射電流密度を高め、高解像度化を実現しました。

○ 今回開発した標準テレビ用撮像板の画素数*5は約30万画素(640×480)、画素サイズは20×20um(マイクロメートル)で、月明かり程度の明るさで鮮明な映像を得ることができます。今後は、画素サイズをより小さくして、画素のさらなる集積化を図り、ハイビジョン用冷陰極HARP撮像板の開発を目指します。

*1:HARP(High-gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductor), NHKと浜松ホトニクス(株)との共同開発
*2:NHKと双葉電子工業(株)との共同開発
*3:HEED(High-efficiency Electron Emission Device), パイオニア(株)開発
*4:画素ごとに配置したトランジスタとそれを制御するための回路とで構成される高速駆動回路
*5:従来の試作撮像版の画素数は、約5万画素(256×192)



図1 標準テレビ用冷陰極HARP撮像板の構造


図2 標準テレビ用冷陰極HARP撮像板の外観写真

表1 仕様(スピント型およびHEEDに共通)
有効撮像領域 12.8×9.6mm
画素数 水平640×垂直480
画素サイズ 20×20μm
感度 一般的なCCDの約20倍
駆動方式 一般的なCCDの約20倍


 
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