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◆5.1サラウンド対応マイクロホンを開発
〜1本のマイクで5チャンネル音声の収音が可能に〜
(平成17年11月14日)


○ NHKと三研マイクロホン(株)は共同で、1本で5チャンネルサラウンド音声を収音できる小型軽量の5.1サラウンド*1対応マイクロホンを開発しました。

○ 今回開発したマイクロホンは、4つの単一指向性マイクロホン*2を近接して配置し、演算処理によって左前方、右前方、正面、左後方、右後方の5つのチャンネルの音声を出力しています。指向性合成には、MS方式*3と呼ばれる合成方式を前方と後方の両方に用いており、4つのマイクロホンと演算処理部は一つの筐体にコンパクトに配置することにより、1本の超指向性マイクロホン(ガンマイク)と同等の形状となっています。

○ 番組制作の現場では、サラウンド音声を収音する場合、多数のマイクロホンを用いる方法が一般的でしたが、広がり感のある音が収音できる反面、マイクロホンのセッティングが大掛かりになりがちでした。

○ 今回開発したマイクロホンを用いれば、海外ロケや街頭の環境音など機動性を求められる場合でも、簡単にサラウンド音声の収音が可能です。ビデオカメラのカメラヘッドに取り付けられるため、カメラワークとリンクしたサラウンド音声を簡単に収音できるほか、出力ケーブルを交換するだけで、モノラルやステレオ音声の収音マイクロホンとしても使用可能です。

○ 開発した5.1サラウンド対応マイクロホンは、11月16日より開催される国際放送機器展に出展する予定です。NHKは、デジタル放送の魅力あるサービスの充実に向けて、今後も5.1サラウンド音声の制作を始めとした効率的な番組制作手法の研究・開発に取り組んでいきます。

*1 BSデジタル放送と地上デジタル放送の一部番組でサービスされている、前方3チャンネル、後方2チャンネル、低域強調1チャンネルの立体音響

*2 音の方向に対するマイクロホンの感度の違いを指向特性といい、主に前方向に指向性を持つ単一指向性マイクロホンと、全方向の無指向性マイクロホンの2つに大別できる。

*3 ステレオマイクロホンの一種で、単一指向性マイクと8の字指向性マイクの出力を電気的に合成して、左右の指向性を得る方式

[マイク(WMS-5)外観]

[性能]
感度 −25dB±2dB(1kHz)
周波数帯域 50Hz〜20kHz
出力インピーダンス 120Ω±30%(1kHz)
長さ 235.8mm
重量 約255g(ケーブル含まず)
ファンタム電源 48±4V
出力 5チャンネル(L,R,C,Ls,Rs)
オプションのケーブルによりCのみ、あるいはLRのみの出力も可能



[指向性パターン]



 
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