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◆ハイビジョンCCDカメラの“白キズ”用PCベースの補正装置を開発
〜キズの種類や画像内容に適応させた修復が可能に〜
(平成17年11月9日)


○ NHKはCCD撮像素子を使用したハイビジョンカメラの画像に発生する“白キズ”を修復する補正装置を(株)芙蓉ビデオエイジェンシーと共同で開発しました。

○ カメラの心臓部であるCCD撮像素子は、航空機に搭載した場合や宇宙空間で使用した場合に、自然界に存在する放射線により画素欠陥が発生することがあります。この画素欠陥は"白キズ"とも呼ばれ、映像品質の劣化の原因となっています。開発した装置は、収録した映像から白キズを検出して、その周辺の画素情報を用いて補正し、キズを除去するものです。

○ 従来の白キズ補正装置はハードウェア構成が大型で、補正機能も限定的なものでした。今回、開発した装置はPC(パーソナルコンピュータ)と、リアルタイムで映像を補正する装置を組み合わせて使用するコンパクトな構成で、補正条件の設定など、各種オペレーションはソフトウェアで行うことができ、白キズの種類や画像の内容に合わせた最適な補正が可能です。

○ 検出から補正までの動作を全て自動で行う「フルオート機能」、画面の任意の範囲を 自動で検出・補正する「指定範囲オート機能」、キズの位置を指定して補正する「マニュアル機能」の3つのモードを選択できます。

○ 白キズの自動検出は、キズの特徴である“点状になった白っぽい”部分を演算で抽出して求めますが、検出精度を向上させるためにノイズを低減する機能を備えています。 また、従来の輝度信号のみを使用して検出する方法以外に、画像を構成する赤、緑、青の色チャンネル各々について個別に検出して1画素単位で補正することもできるため、修復能力が格段に向上します。キズの大きさにあわせ、上下左右の画素の混合比率を調整して補正するため、大きなキズでも跡が残らないようにきれいな修正が可能です。

○ NHKは今後も、番組内容の充実のほか、科学的分析などに寄与できるように、宇宙空間をはじめ、航空機、深海など特殊な撮影条件でも使用可能なハイビジョン映像機器の研究・開発を進めていきます。



[諸元]
システム構成 ・処理装置本体 WDCP001(PCIバスカード)
・拡張ボックス(PCIバスとPCカードバスの変換)
・付属ソフト
処理装置本体 (WDCP001)
映像入力 HDSDI  1系統  (1080/59.94i)
映像出力 HDSDI  1系統  (1080/59.94i)
検出方法 全自動 (フルオート)
範囲指定による半自動 (セミオート)
手動 (マニュアル)
検出画素 輝度レベル(白キズ、黒キズ)、色レベル(R、G、B)
補正方法 水平補間
垂直補間
水平垂直補間
検出時間 平均15秒(キズ個数による)
補正情報の生成時間 平均30秒(キズ個数による)
補正時間 リアルタイム (遅延時間93マイクロ秒)
寸法 カード:175mm×120mm×22mm
重量 約160g
消費電力 約 12W (5V 1.6A 、12V 300mA)


 
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