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◆PCベースで初の高画質なハイビジョンノンリニア編集機を開発
〜機動的なニュース・番組制作の実現に向けて〜
(平成17年8月5日)

 

○ NHKは、パソコン(PC)を使用した業務用機器としては初めて、50Mbpsの高画質なハイビジョン信号をリアルタイムに編集可能なノンリニア編集機をカノープス(株)と共同で開発しました。これは今春、開発・製品化した「低ビットレートハイビジョンノンリニア編集機*1」をベースに高速化を図ったものです。

○ NHKでは現在、デジタル放送の魅力であるハイビジョン番組を効率的に制作するためにニュース・番組制作設備のノンリニア化を進めています。ニュースカメラなどの記録メディアは、これまでの磁気テープに代わって、光ディスクやメモリなどの使用が期待されていますが、この場合、ハイビジョン信号をMPEG-2*2(有効画素数1920X1080)で50Mbps程度に圧縮して記録すると想定されます。

○ PCを用いたノンリニア編集機はこれまで、民生用のハイビジョンビデオ規格であるHDV規格*3の25Mbps程度のビットレートがリアルタイム処理の限界であり、50Mbpsの高ビットレートのハイビジョン信号を、そのまま編集することはできませんでした。

○ 今回、開発した装置は、編集作業中の書き込み・再生などハードディスクへのアクセス数を減らすことにより、PCの処理スピードを向上しました。また、処理時間のかかる複雑な編集については、データ量が少ない低画質のデータを併用して映像表示*4しており、これらの技術*5を適用することによって、PCベースの編集機としては初めて、50Mbpsの高ビットレートのハイビジョン信号のリアルタイム編集を実現しました。

○ 本編集機は、平成17年度NHK技研公開にて、「ハイビジョン光ディスク取材・制作システム」として公開展示しました。NHKは今後も、デジタル放送のサービス充実と効率的なニュース・番組の制作に向けて、PCや民生用機器の放送への積極的な活用を含め、新しい技術をいち早く取り入れた研究・開発を進めて行きます。


*1 NHKとカノープス(株)が共同開発(平成17年3月30日 報道発表)
*2 Moving Picture Experts Group:ITU-T(国際電気通信連合)とISO(国際標準化機構)で制定されたデジタル動画と音声の圧縮・伸長に関する規格。MPEG-2は、ハイビジョン画質の圧縮・伸長に関する規格。
*3 MPEG-2で25Mbps映像圧縮、有効画素数1440X1080。
*4 低画質映像による再生は、編集後の映像を確認するために仮に行うもので、本編集はPCが後で時間をかけて自動的に行います。
*5 カノープス(株)と共同特許2件出願中。


[図] 次世代ニュース取材・制作システム


開発したノンリニア編集機の主な仕様
項目
仕 様
映像・音声信号 映像
  有効画素数 1920X1080
  MPEG-2 4:2:2P@HL(Long GOP 50Mbps)
音声
  リニアPCM、 16,20,24bit/48kHz
入出力
インターフェース
HD-SDI 入力1系統/出力2系統
アナログオーディオ 4チャンネル
AES-EBU 8チャンネル
Ethernet(100/1000Base-T) 1系統
機能 フレーム単位でのカット編集、各種エフェクト
コントローラでVTRと同じような操作可能
別途作成した編集点データによる効率的編集が可能



 
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