◆地上デジタル放送のキャリア毎の誤り率測定器を開発
〜地上デジタル放送のあまねく普及をめざして〜
(平成17年5月12日)
○ 従来のアナログTV放送では、ビートやゴースト等の受信障害がある場合、テレビ画面を見れば障害原因を推定することが可能でした。しかし、地上デジタル放送では障害原因に係わらず、画面にブロック状のノイズが発生するか、映像断となるため、受信映像から障害原因を推定することが困難です。そのため障害原因の推定が可能な測定器が必要となっていました。
○ 今回、NHKは地上デジタル放送の受信障害原因推定に有効な、OFDM信号のキャリア毎*の誤り率測定器を開発しました。
○ この測定器を用いれば、地上デジタル放送波を用いて、従来、測定が難しかった、OFDM信号のキャリア毎のビット誤り率を測定することができます。さらに、測定した帯域内の周波数(キャリア)ごとの誤り率分布から、同一チャンネル混信や、ビート混信、マルチパスなどの障害原因を推定することが可能になります。
○ この測定器は、地上デジタル放送のフィールドにおける受信障害原因の推定、送信所、中継放送所、ケーブルテレビ施設での地上デジタル放送信号監視など、様々な状況で使用できます。地上デジタル放送のあまねく普及へむけた、有効な手段となることが期待されています。
○ この測定器は、
5月26日(木)〜29日(日)まで開催するNHK
放送技術研究所の一般公開で展示いたします。
* 地上デジタル放送では、OFDM(Orthogonal
frequency division multiplexing)と言う変調方式を採用しており、1チャンネル(5.6MHz)当り、約1KHz間隔に約5600本のキャリア(搬送波)を用いてデジタル信号を伝送しています。
図1 試作したキャリア毎の誤り率測定器
表1 試作したキャリア毎誤り率測定の仕様
項目
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仕 様
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入力信号
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地上デジタル放送信号
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測定フレーム数
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1フレームまたは8フレーム
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測定キャリア本数
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5460本
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BER測定位置
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ビタビ復号前(エラー訂正なし)
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BER測定
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キャリア毎のBERと
全キャリアのBER平均値
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図2 キャリア毎誤り率測定器の系統図