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◆ロードレース中継用受信装置「光伝送アンテナ」を開発
〜 移動中継でも、より安定した映像・音声の受信が可能に 〜
(平成17年2月15日)


○ NHKとNECトーキン(株)は、アンテナで受信した電波のRF(高周波)信号を光信号に変換し、光ファイバーで受信機に伝送する「光伝送アンテナ」を共同で開発しました。

○ 開発した光伝送アンテナを昨年2004年12月の「第16回女子全国高校駅伝、第55回男子全国高校駅伝」と今年1月の「第23回全国都道府県対抗女子駅伝」の中継で使用し、市街地など電波の伝搬条件が良くない区間でも安定した映像をお届けすることができました。

○ これまで、マラソンなどロードレースの中継では、移動中継車からの電波を 受信する複数の無線基地局を切替えて映像・音声を伝送していましたが、市街地の区間などでは建物の遮蔽により電波が途切れるため、無線基地局の設置場所など細かな調整を必要としていました。

○ 開発した装置のアンテナ部は、受信した電波のパワーによって信号を自動的に増幅するオートゲインコントロールの機能を有しているため、無人運用が可能なほか、小型、軽量で防水仕様となっており、これまで設置が困難であった道路沿いの電柱などに容易に設置できます。光ファイバーにより最大50キロメートル離れたところにある受信機まで伝送することができるため、これまでの無線基地局では受信が困難なエリアを補完的にカバーすることが可能です。

○ 受信部には、光信号の入力レベルメーターを設けており、これまで専用の測定器で確認していた光信号の伝送パワーの簡易測定ができます。アンテナ部、受信部ともに電源はAC100Vのほか、DC12Vでも動作可能なため、屋外中継など、場所を選ばずに使用可能です。

○ NHKは開発した光伝送アンテナを、「第60回びわこ毎日マラソン」(2005年3月6日放送予定)のハイビジョン中継にも使用する予定です。NHKは今後も、ハイビジョンによる取材や中継で、より安定した映像・音声を伝送するため、さまざまな機器の研究・開発に取り組んでいきます。


[光伝送アンテナ概要]



[光伝送アンテナ性能]
項  目
仕様値
備考
RF入力信号レベル −60〜−20dbm/ch  
入出力VSWR* 1.5以下  
周波数特性偏差 2.5dBp-p以内  
C/N 15dB以上 測定帯域9MHz
入力レベル−60dbm
受光電力−7dbm時
3次相互変調歪み −40dBm以下 −14dbm/波 2トーン入力時
−20dbm 4ch入力相当
伝送距離 最大50km  
電源 AC100V、DC12V  

※VSWR: 電圧定在波比。インピーダンス不整合により、反射波が発生している伝送線路上に発生する電圧振幅分布の山と谷の比
 
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