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技術情報

  カメラアダプター方式ノイズリデューサを開発
〜 ハイビジョン低照度撮影で発生するノイズを低減 〜
(平成16年9月14日)

○ NHKと(株)芙蓉ビデオエイジェンシーは、低照度撮影時に発生しやすいノイズを低減することが可能なハイビジョンカメラ用のアダプター方式の小型ノイズリデューサを共同開発しました。

○ 開発した装置は、回路の主要部分に600万ゲートのLSIを使うことで小型低廉化を実現し、ハイビジョンカメラの後部に取り付けてバッテリー駆動で使用することが可能です。

○ 超高感度のイメージインテンシファイヤ(I.I.)*1カメラで課題になっていたイオンノイズ*2の除去が可能です。CCDカメラで電気的なゲインアップを行うとザラついた映像になりますがこのようなアンプノイズ*3についても低減して見やすい映像にします。イオンノイズ処理とアンプノイズ処理の両方を組み合わせて使うことができます。

○ ハイビジョン番組「地球ふしぎ大自然」や「星空のロマン」、また緊急報道など、低照度で撮影することが多いカメラの映像処理に使うことで、よりきれいな映像を提供していく予定です。

※1 I.I.カメラ:
  入射した光から変換した電子信号を約1万倍に増やした後、再び光に変換する光増強管を組み込んだカメラ。 2004年5月25日報道発表。
※2 イオンノイズ:
  光増強管の内部は真空になっているが、わずかに残るガスがイオン化してノイズになる。 I.I.カメラは極めて高い感度を持つがイオンノイズが課題とされていた。
※3 アンプノイズ:
  信号増幅用のFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)のノイズ。最近のカメラには電気的に30dB程度感度を上げるゲインが付いている。ゲインを上げた場合、画面全体に雨が降っているようなノイズが目立つようになる。


開発した小型ノイズリデューサ

[諸元]
寸法 116mm(W)×215mm(H)×84mm(D)
重量 約1.1kg
消費電力 約15W
電源入力 DC12V (カスケードスルー)
映像入出力 HD-SDI IN1系統、HD-SDI OUT2系統
音声 エンベデッドオーディオ
信号方式 BTA S-004Bビット直列インターフェース準拠(1080/59.94i)
信号遅延 約95マイクロ秒
フィルタの種類 特異点検出型フィルタ*1(16種類)
循環型フィルタ*2と加算型フィルタ*3(16種類)


※1 特異点検出型フィルタ:
  ポツポツと出るノイズを検出して周辺画素と置き換える
※2 循環型フィルタ:
  映像に残像を付加してノイズ感を軽減する
※3 加算型フィルタ:
  秒60コマの映像を数コマずつ足し算して信号をふやす





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